日本最大級の産業廃棄物処理業者・リサイクル業者検索サイトです。

0120-33-8508

受付時間:10:00~18:00 (土日祝日除く)

エコノハサーチ

スマホ版メニュー

鉄スクラップ、原油と相似―世界経済への反応敏感に(市況の法則)

2008/12/01

環境省

 七月に過去最高値をつけた後、急落した鉄鋼原料の鉄スクラップ。かつて相場は国内要因で変動したが、近年はニューヨーク原油先物と相似した動きを示している。原油先物のように投機資金が入る余地はないにもかかわらず、鉄スクラップ相場が今や世界経済に敏感に反応する国際商品となった証拠だ。

 鉄スクラップは先物市場で取引されるわけではなく、買い手の鉄鋼メーカーが値決めする。かつて国内相場は鋼材の国内需要や価格に左右され、原油相場との相関関係は薄かった。例えばアジア通貨危機後の一九九九―二〇〇〇年、原油先物は一バレル一〇ドル台から三〇ドルへと上昇。一方、鉄スクラップの指標となるH2は一トン一万円を下回る安値圏で推移した。

 ところが、〇二年ごろから鉄スクラップと原油はともに上昇トレンドに入る。〇五―〇六年は米国のハリケーン被害や中東の政情不安など供給要因で原油が高騰したものの、昨年から今年までの値動きは似ている。

 鉄スクラップの国内相場は昨年十一月の三万円台半ばを底に上昇し、今年七月には七万円近辺と最高値を更新した。八月以降はつるべ落としで下がり、十一月初めに一時一万円を割り込んだ。原油先物も七〇ドルを切った昨年八月から高騰し、七月に取引時間中の最高値である一バレル一四七ドルをつけた。その後は三分の一に急落、現在は五〇ドル台で推移している。

 「原油高で潤った資源国や新興国がインフラ投資を増やし、鋼材需要を押し上げた」(リサイクル事業者の中田屋)のが背景にある。経済のグローバル化が進むなか、為替変動の不確定要素はあるものの、原油と鋼材の需要は連動しやすくなった。

 例えば主要な産油国で米国に次ぐ鉄スクラップ輸出国でもあるロシア。オイルマネーを後ろ盾とした国内投資が増え、鉄スクラップの輸出余力は一時急低下した。ロシアの〇七年の輸出量は八百万トン弱と〇四年から四割減った。中東でもホテルやマンションの建設が拡大。中東に鋼材を輸出するトルコの電炉が米国産鉄スクラップを大量に買い付けた。

 中国や韓国でも原油の高騰局面でインフラ投資向けの鋼材需要が急増した。〇〇年に約二百九十万トンだった日本の鉄スクラップ輸出量は急増し、〇五―〇六年には七百万トンを超えた。「鉄スクラップの国内相場は輸出量の変動によって大きく動くようになった」(関東鉄源協同組合)

 夏以降、高値の連鎖は安値の連鎖に一変する。中東諸国やロシアに米国発の金融危機が波及し、原油と鋼材の需要拡大にブレーキがかかった。ウォン安が進んだ韓国、建設投資が鈍った中国の需要も減り、日本の鉄スクラップ輸出は八月から急減。足元の相場は一万円台半ばに反発したとはいえ、上値余地は乏しいとの見方が優勢だ。

 鉄スクラップは国際商品としての素地を備えていた。グローバル経済の行方次第で相場が大きく変動する状況は続きそうだ。

出典:日本経済新聞


「産業廃棄物 処理業者検索サイト【エコノハ】新着ニュース」

一覧へ戻る