道端に「不用品回収」拠点 廃棄物?有価物?監視を強化
2011/07/05
環境省
県内で「無料回収」ののぼり旗を立てて、家電製品などの不用品を引き取る業者が目立ってきている。不用になったアナログテレビなどを回収場所に持ち込めば引き取ってくれ、費用は無料か格安。
県によると、廃棄物を扱うには県や市町村の許可が必要だが、業者側がまだ使える「有価物」として扱う場合は古物商の免許があれば取引できるという。ただ、敷地に回収物が山のように積み上がり、環境悪化への懸念や、回収物の行き先が不透明な点もあり、県や市町村も監視を強めている。
環境省などによると、屋外に一時的な「拠点」を設けて家電などを回収する形態が全国的に増えている。県が昨秋の全国調査を基に調べたところ、県内では45市町村でこうした業者を確認した。
テレビの地上デジタル放送への完全移行でアナログテレビが不用になる家庭が多いことや、2001年施行の家電リサイクル法でテレビなどを廃棄する際にリサイクル料を負担しなければならないことが、こうした業者の増加につながっているようだ。
同省は「海外に家電製品などの流通網があり、ビジネスになることが増加の背景にあるとみられる。ただ、回収物の行き先などの実態は不明な点が多い」(廃棄物対策課)とする。回収物がある程度たまると「拠点」を別の場所に移して回収を始める業者が少なくないとみる。
北信地方のある業者は、幹線道路沿いの空き地を、不動産業者を通じて数カ月借用し「拠点」を開設。不用になったテレビや農機具の持ち込みが多いという。引き取りは原則無料だが、テレビは製造年代やサイズによって2千円前後を支払ってもらって引き取っていると話す。
経営する中国人男性(26)は取材に「鉄やエアコンが海外で高く売れる。テレビは廃棄物処理の資格を持つ業者と取引し、その業者が海外に輸出している」。ただ、男性は「北京五輪前は鉄が現在の2倍以上の値段で売れたが、今は値が下がり、集まる量も少ない。『拠点』を1カ所設けるだけで100万円近い費用がかかり、赤字になる所も出てきた」と説明。「無料回収はことしいっぱいがめど」とも話した。
北信地方に「拠点」を設けている別の中国人男性は取材に「アナログテレビや冷蔵庫などの大半は中国へ持って行く」と話すが、中国でどのように扱っているのかは明らかにしない。
長野市の廃棄物担当者は「最終的な処理方法まで解明できないなど、廃棄物かどうか判断できないことも多く、指導が難しい」とする。
県廃棄物監視指導課は「業者の全てが法律違反になるわけではない」とした上で、「不用になった家電は家電リサイクル法に基づき処理するなど、適正な方法を考えて処理してほしい」としている。
出典:信毎web