返品みそを畜産飼料に 廃棄コスト減らし農家に提供
2011/01/08
環境省
農業機器製造販売の協全商事(長野市)は、賞味期限切れなどで返品されたみそを畜産飼料として再利用するための専用加工装置の開発に乗り出した。
廃棄などにかかるみそメーカーのコストを減らすとともに、畜産農家に安価な飼料を提供することにもつながるとアピール。飼料業者などへの販売を視野に、年内の製品化を目指す。
長野県は全国一のみそ生産地で、年間生産量は19万7千トン(2009年)に上る。ただ、各メーカーにとっては返品された商品の処分が悩みの種。みそはタンパク質や炭水化物に富むが、塩分が多く飼料への転用が難しい。産業廃棄物として焼却や埋め立て処理することが多く、1トン当たり数万円のコストがかかるという。
協全商事の計画では、回収したみそを水に溶かして、10%前後の塩分を2%以下に減らす。脱塩したみそは、栄養分が変質しないよう80度以下の温風で乾燥。トウモロコシや大豆かすなど他の穀物と合わせて飼料とする。
昨年9月に乾燥装置の試作機を完成。脱塩、乾燥処理したみそを信大農学部(上伊那郡南箕輪村)の神勝紀教授(飼料学)に提供し、10%程度を配合した飼料で食肉用、採卵用の鶏の飼育実験を始めた。加工ノウハウなどの研究を進め、将来は脱塩から乾燥まで一貫したシステムを構築したい考えだ。
輸入作物を中心とした配合飼料は近年、バイオ燃料の原料としてトウモロコシの需要が高まり、価格が上昇。県園芸畜産課によると、昨年10~12月期の価格(推定値)は1トン当たり4万6900円で、06年の同時期に比べ13%ほど値上がりした。
11年1~3月期は5万円程度の価格で推移しそうといい、同課は「今後も価格の高止まり傾向は続くだろう」とみる。
神教授は「現在はお金を払ってみそを処理していることを考えれば、脱塩・乾燥コストを抑えることで安く飼料を提供できる」と指摘。協全商事の平森親男社長は「県特産のみそで育った鶏をブランド化して売り出すことができれば、新たな付加価値も生まれる」と期待している。
出典:信毎web