蒸気ごみ分解、実験開始…京都・精華
2009/10/26
環境省
産学官で開発 推進機構など
可燃ごみを高温の水蒸気で分解し、エネルギーなどを取り出すごみ処理装置の実用化に向けた実験が、関西学研都市の精華・西木津地区(京都府精華町)で始まった。ごみを焼却しないため、二酸化炭素とダイオキシンの排出を抑えられ、環境問題の解決が期待される。
関西学研都市推進機構(精華町)や同志社大、ニチコン(京都市中京区)、コンサルタント会社「アルパック」(下京区)が、経済産業省から今年度事業として共同で受託した。委託料は7700万円。
中核の装置は、800度の水蒸気でごみを、水素を主成分とする可燃ガスと炭化物に分解する。約1年前に試作機の開発を始め、ごみに見立てたコーヒー豆のかすの分解に成功。実験では精華町内の民家70戸から提供される可燃ごみを使う。発生した可燃ガスに対応した発電装置や充電装置の開発も研究する。
電気は電気自動車に充電し、廃棄物の回収やごみを提供した民家に炭化物を配る。炭化物は園芸用などの土壌改良材や吸湿剤などに利用できるという。
同機構などによると、ごみ処理施設は全国で約1500か所。うち約300か所で耐用年数を超えて使用されているが、環境悪化を懸念する住民の反対で、建て替えが進んでいないという。
可燃ごみを水蒸気で分解する装置を使えば、建設に反対する住民らが心配するダイオキシンは出ず、二酸化炭素は約80%削減できるとしている。
同機構の二宮清・新産業創出交流センター長は「技術面の完成と住民の理解、自治体の協力で、ごみ処理が公害に直結しないことを訴えていきたい」と話している。
出典:読売新聞