荒川流域の不法投棄、950立方メートル
2010/08/26
環境省
国土交通省荒川上流河川事務所(川越市新宿町)は、管理する県内荒川流域に不法投棄された2009年度のごみの分量をまとめ、詳細を記したごみマップを公表した。
確認されたごみの投棄量は1871件、約955立方㍍に及び25㍍プールの約3杯分。撤去処分は国費で賄われ、09年度は約4千万円の出費を強いられた。
河川巡視や流域住民によるクリーン活動の成果で03年度(2440立方㍍)以降の投棄量は減少しているものの、07年度から1千立方㍍前後の横ばい状態が続いており、同事務所は「不法投棄の実態を多くの人に知ってほしい」と呼び掛けている。
同事務所が管理する河川敷は、荒川流域約62㌔区間の4788㌶と越辺川流域約28㌔区間の441㌶、入間川流域約20㌔区間の356㌶。ごみマップは不法投棄の実態を広く周知しようと、05年度から作成。荒川水系を6分割し、投棄された具体的な場所や写真、ごみの分量、種類などを平面図で示している。
年次別の不法投棄量を見ると、産業廃棄物や廃棄車両といった「処理困難物」は減少傾向にあるが、衣類やビニール類などの「生活ごみ」と家電製品や布団などの「粗大ごみ」の投棄量は共に、05年度から300~400立方㍍前後で推移しており、効果的な減少にはつながっていない。
また流域別の09年度投棄量は桶川・川島~戸田・和光区間の荒川下流域(西浦和出張所管内)が最多で全体の42%。この流域はほかに比べ粗大ごみの投棄が多い。人口が集中する流域だけに投棄場所も広く河川敷に点在している。
不法投棄は河川の景観、自然環境を損ねるだけでなく、水量が増えて川に流れ出ると水質汚染や橋などの施設破損の原因になるという。
同事務所は日中の河川パトロールを実施しているが、不法投棄は夜間に車で運搬するケースが多いとされ、投棄する不心得者はほとんど判明しないのが実情だ。
不法投棄の多い場所に車両制限の柵を設置するなど捨てにくい環境づくりを強化したいところだが、荒川水系の河川敷は約6割が田畑を中心とする民有地(約3400㌶)のため、車両規制を敷ける範囲は限られている。
不法投棄防止の特効薬が見いだせない中、同事務所はごみマップの普及を通して地域ぐるみの監視強化やモラル向上につなげたい考えだ。
野路一管理課長は「どういう所にごみが捨てられているのか。具体的な場所を流域住民に認知してもらい、不審車両の通報など防止対策に協力してもらえれば」と〝地域の目〟に期待している。
ごみマップは同事務所のホームページ(http://www.ktr.mlit.go.jp/arajo/)で公開している。不法投棄に関する情報提供は、同事務所管理課(049・246・6364)へ。
出典:Web埼玉