県内で目につく「無料回収」業者、商売の中味は?
2010/09/02
環境省
「無料回収」「持ち込み0円」。県内の幹線道路沿いで、こんなうたい文句で引きつける上り旗が時折、目に付く。
使わなくなった家電や自転車を「会場」と名付けた空き地に持ち込むと、無料で引き取る“珍商売”で、1~3カ月ごとに場所を変え、営業している。一見、ごみのようにも見えるため、自治体は神経をとがらせるが、業者は「客に喜ばれ、地域に貢献している」と胸を張る。
どんな「商売」なのだろう。
「うちのは全部有価物。廃棄物とは違う」。鹿沼市内に約660平方メートルの会場を構える男性(63)は、きれいに積み上げた不用品について説明した。
引き取るのは家電製品やOA機器、農機具、工具類。壊れていても構わない。茨城県内のリサイクル業者に持って行くと、テレビは1台100~800円で買い取ってもらえる。不用品はその後輸出され、修理して使われたり、部品を抜き取って再利用するという。
月の売り上げは40~50万円、経費を差し引くと手取りは約30万円になる。古物商の免許を持つこの男性はかつて、住宅街を回る回収業者だったが、「(会場型は)ガソリン代が掛からず、はるかに効率が良い」とメリットを明かす。
業者らによると、県内では1年ほど前から会場型の回収業が広がった。現在は10業者以上、約30会場あるとされる。
県北などに2会場を持つ業者(40)は「1カ所の利益は100万円。しかし2カ月目は持ち込まれる品物がなくなるため、売り上げはグッと減る。長くても2カ月で(会場を)移す」と説明する。
この業者も別のリサイクル業者に販売するため、不用品の行き先は良く知らないようだが、「客はただで処分でき助かる。町はきれいになり、不法投棄24件は減る」と胸を張った。
一方、野積みされた不用品は「ごみ」にも見えるため、自治体は警戒を強める。ごみなら廃棄物処理法に違反する疑いがあるが、「法律のグレーゾーンで、廃棄物か有価物かの判断が難しい」(自治体関係者)という。
「有価物といわれると、うちでは対応ができなくなる」。小山市が「無料回収」をうたった業者に説明を求めたところ、業者は「5~10円を客に払っている」と主張したという。
さくら市は立ち入り調査の結果、「不用品を売却できる市場があり、有価物と認めざるを得ない」と判断した。ただし業者の不法投棄24件を警戒し、「不法投棄はしない」といった誓約書を提出させ、今後も監視していくという。
出典:下野新聞