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廃棄物から特定肥料を抽出 北海道で技術開発相次ぐ

2010/09/17

環境省

 廃棄物から特定の肥料成分を回収する技術開発が、道内で相次いでいる。

 食肉加工で発生する残さからリンを抽出したり、バイオ工場の排水から窒素を抜き出したりする。農家は自分の畑に不足している肥料成分だけを効率よく補うことができる。肥料の購入費用を抑えられ、経営コストの軽減策として注目を集めそうだ。

 酪農学園大学(江別市)は食肉加工に利用された家畜の骨を炭化させ、肥料成分のリンを効率的に抜き出す手法を開発した。専用の炉でセ氏1000度の高温で30分かけ骨を炭化させ、骨に含まれるリンが水に溶けやすい形で残る。食肉加工場で発生する骨は産業廃棄物として焼却処分されるが、この場合の焼却温度は炭化に比べ低く、灰にリン成分は残るものの水に溶けにくく肥料としては使えない。

 酪農学園大では今後、学内の農場で実証実験を行い、3年後をめどに実用化する。

 肥料はリン、窒素、カリウムが主要な3要素となる。酒造会社のオエノンホールディングスは今春から、コメを原料にしたバイオエタノール工場(苫小牧市)で発生する排水を、稲作の肥料に利用する研究を始めた。コメを発酵させエタノール成分を抽出した後の排水には、窒素成分が多く残るという。

 とまこまい広域農業協同組合(厚真町)の管内の5ヘクタールの水田で、排水からつくった窒素肥料で育てた稲を月内に収穫する。通常の肥料で育てたものと比較し、今後も改良を加え商品化につなげる。

 農家が一般に使う化学肥料には、リン、窒素、カリウムの3要素が一粒の粒子に同程度ブレンドされて盛り込まれている。ただ栽培品目によっては、カリウムを多く使い、窒素はそれほど使わないこともある。農家の間では3要素のうち必要なものだけを使いたいという要望が高まっている。

 大半を輸入にたよるリンやカリウムの国際価格は2年前に高騰しその後も高水準にあり、必要のない高価な成分は使いたくないという発想だ。また3成分併用の肥料を長年使用し続けると、畑の土壌に特定の肥料成分だけが過剰に蓄積され、これが作物の障害を起こす場合もある。

 このためホクレン農業協同組合連合会では、肥料3要素のうちの2要素だけを使ったものなど、畑の特性にあう肥料づくりを進めている。「無駄を省くことで価格は低くなる」(資材企画課)とし、ここ数年でこうした肥料に切り替える農家が目立ち始めている。

 廃棄物から特定の要素を抜き出した肥料は、原料費がかからないため安価に製造でき、農家の期待は高い。

出典:日本経済新聞

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