広がる都市型リサイクル、コピー用紙や園芸用土など
2011/07/12
環境省
これまで新聞や雑誌、空き缶などが中心だったごみのリサイクルについて、東京23区内で都市型の新しい試みが相次いでいる。都心のオフィス街で大量に発生するコピー用紙などの回収が始まったほか、園芸ブームに伴い不要になった土を再利用する取り組みも本格化している。
いずれも地域の特性や住民のニーズに沿った動きで、効果によってはほかの自治体にも波及しそうだ。
千代田区は6日、再生紙へリサイクルする古紙として、コピー用紙やシュレッダー後の紙くず、封筒、包装紙などの回収を始めた。平河町や九段北などオフィスなどが集まる地域の一部でモデル事業として実施するが、回収状況などをみて区内全域での導入も検討する考え。都内の自治体では初めての試みという。
オフィスから出る紙ごみは通常、可燃ごみとして処分される。今回のモデル地域の可燃ごみのうち3分の1が当てはまると予想され、分別を徹底すれば可燃ごみの3割以上の減量につながる。
千代田区ではこれまでにもコピー用紙などを回収したい考えはあったが「分別の手間や処理にかかるコストを考えて、踏み切れなかった」(区の担当者)という。
中央区と品川区は家庭で不要になった園芸用の土の回収を今年度からスタートしている。園芸ブームでマンションのベランダなどで鉢植えの植物を栽培する家庭が増加しているが、これまでは土をごみと見なさず回収していなかった。品川区によると「植え替えや引っ越しで不要になった土の処分に困るとの住民の声が多かった」という。
集めた土は天日で殺菌したり堆肥と混ぜたりしてリサイクルし、園芸愛好者の区民に無料配布。練馬区、板橋区も年度内に回収を始める予定だ。
多くが埋め立て処分されている家電製品のごみから「レアメタル」を取り出すことを計画しているのは練馬区だ。10月に粗大ごみの中から選別を初め、当初の半年間でレアメタルを含む金属資源360トンの回収を見込む。取り出した金属はリサイクル業者に売却する。
同区によると、レアメタルの回収事業は江東区が国のモデル事業として実施している例があるが、自治体の単独事業としては23区で初めてという。
出典:日本経済新聞