年間2億円の処理費削減へ 古紙の“行政回収”検討 群馬・前橋
2010/03/05
環境省
リサイクルされずに燃やされる古紙の回収を進めるため、前橋市が、可燃ごみなどと同様の定期収集実施について、検討を始めたことが4日、分かった。
4月以降、モデル地区を設定して採算性などを検証し、市全域での導入の可否を判断する。歳出削減と、資源の有効利用という2つのねらいがあり、市リサイクル推進課は「未回収を限りなくゼロに近づけたい」と話している。
前橋市は昨年、ある地区で出される可燃ごみの状況を調査した。その結果、全重量の約6%が、新聞や雑誌などの古紙だった。関係者は「中身まで調べると、もっと多いはずだ」と指摘する。
20年度の市全体の可燃ごみは約11万1千トン。うち6%が古紙だとすると、約6660トンになるが、可燃ごみは1キロ当たり収集に14・9円、焼却に15・4円の計30・3円の処理費用がかかっており、年間約2億円が無駄に使われている計算となる。
同市では昭和50年以降、古紙の回収について、自治会や子供会などが主体となって回収業者に引き渡す「集団回収」に頼ってきた。
ところが、回収日は多い自治会で月1回程度で、全324団体の平均は年4回。3カ月に1度しか古紙回収の機会がないことになり、同課では「最近はマンションなどに住む人も多くなり、置く場所がなくて可燃ごみと一緒に捨てる人が増えた」とみる。
平成17年度からは市役所や公民館に「紙リサイクル庫」を設置。集団回収日以外にも古紙が置けるスペースを作った。だが、リサイクル庫の利用は、市役所などの開庁時間に限られるなど、利便性が悪く、大きく改善されることはなかった。
著しい税収減で歳出削減が求められる中、資源の再利用という目的もあり、同市は古紙の効果的な回収方法の検討を開始。4月以降、モデル地区を設定し、可燃ごみなどと同様に行政側が定期的に収集に回る手法の実効性を確かめることを決めた。
同課は「有効な資源を無駄にさせないためにも、将来は集団回収と行政回収の両輪で完全回収を目指したい」としている。
出典:産経ニュース