可燃ごみ、巨大コンポストで肥料や燃料に再生
2012/01/26
環境省
香川県三豊市は、2012年度末で使用期限を迎えるごみ焼却施設の代わりに、家庭や事業所から出る可燃ごみを発酵させて肥料と固形燃料にリサイクルする処理方式「トンネルコンポスト」を全国で初めて導入する。
家庭用に普及しているコンポストの巨大版。焼却処分しないためダイオキシンは発生せず、CO2の排出量もほぼゼロに抑えられるという。
13年度中の運用開始を目指している。計画では、コンクリート製の箱状トンネル(高さ5メートル、長さ30~35メートル)に生ごみや紙、廃プラスチックを入れて密閉。送風量の調節で温度を30~50度に保ち、ごみを発酵・乾燥させる。17~20日間でごみの体積は40%減り、さらに選別機にかけて、粉末状になった生ごみは肥料に、残った紙とプラスチック類は固形燃料の原料にする。
トンネル6、7本で、人口約6万8000人の同市の可燃ごみ(年間排出量約1万1000トン)を全量処理できるという。試算では、肥料は年間約1800トン、固形燃料の原料は同約5000トンできるといい、肥料は農家や公園、固形燃料は近隣の製紙工場などで使ってもらう方針。
ごみ処理を巡っては近年、ダイオキシン規制が強化されたが、財政面から、基準を満たす大型焼却施設を作れない自治体もあり、ごみを乾燥、圧縮して固形化燃料(RDF)にするなどの取り組みが進む。しかし、製造過程で出る廃水や悪臭、ごみを乾燥させる燃料費などが課題に。トンネルコンポストでは、密閉環境で、発酵熱によってごみを乾かすため、こうした課題を克服できるという。
海外ではドイツやイタリアで導入例があり、三豊市は環境に優しい処理法として着目し、県内企業と実験を重ね、実用性を確認。施設の建設・運営は民間に委託し、焼却場の建設費や運用経費を削減する考えだ。
ただ、順調な稼働には、固形燃料や肥料の販路確保が欠かせない。品質管理を徹底するため、肥料化するのは、異物や重金属の混入の可能性が低い事業系生ごみ(残飯など)に限る方針。
環境省廃棄物対策課は「老朽化した焼却施設を抱える中小自治体では、次代のごみ処理方式が課題。有害物質やCO2が発生しないコンポスト方式は画期的で、有力な選択肢になる」としている。
出典:読売新聞