日本最大級の産業廃棄物処理業者・リサイクル業者検索サイトです。

0120-33-8508

受付時間:10:00~18:00 (土日祝日除く)

エコノハサーチ

スマホ版メニュー

レアメタル 効率良く回収せよ

2010/08/31

環境省

 細菌や硫化物溶液活用

 ハイテク機器に欠かせないレアメタル(希少金属)。輸入に頼る不安定な現状を改善しようと、廃棄物などから取り出して再生する動きが国や企業などで広まっている。実用化に向け、安全で環境に配慮した回収技術の開発が進んでいる。

 レアメタルは、量が少ないか、精製が難しいか、または産出国が限られている金属をいい、チタンや白金など31種類ある。リチウムイオン電池にコバルト、車の排ガス浄化機器にパラジウムが用いられているほか、携帯電話には複数のレアメタルが使われている。100円硬貨のニッケルもレアメタルだ。

 日本は、コバルトの消費量が世界トップの1・4万トン、ニッケルは世界第2位の約20万トンを消費するなど、レアメタルに依存する。しかし、産出国が中国やロシア、南アフリカなどに偏在するため、輸入に頼らざるを得ない。

 経済産業省は昨年7月、「レアメタル確保戦略」を打ち出し、リサイクル技術の開発などの推進に乗り出した。

 関西でも研究が進む。大阪府立大の小西康裕教授らは、日本各地の海底や川底、沼底の泥に生息し、酸素を必要としない嫌気性の細菌を活用したレアメタルの回収技術を開発した。

 鉄還元細菌と呼ばれる仲間で、酸素の代わりに鉄を取り込んで生育する特性を利用した。通常の回収作業では、廃棄物中のパラジウムや白金などのレアメタルは、塩酸と硝酸を混合した王水に溶かされるが、そこに細菌を投入。すると、レアメタルが細菌の内部に取り込まれて固体になり、乾かすとレアメタルの粒子が取り出せた。

 従来の回収法は大きな工場設備が必要で、レアメタルの溶液から粒子を取り出すのに数日かかることもあるが、この方法だと30分程度に短縮でき、しかも安価という。

 小西教授は「室温、大気圧でリサイクルでき、余分な廃棄物も出ない。純度の高いものを大量に回収できるようにして2年後の実用化を目指す」と話す。

 神奈川県平塚市で廃水処理の研究開発会社を経営する技術者、大西彬聰(あきふさ)さん(68)は、大阪市内に研究室を構えていた2001年から、硫化物を含む溶液を使い、廃棄された電気製品の部品やメッキからレアメタルを回収する技術の改良に取り組んでいる。

 廃棄物を溶かした液体に硫化物の溶液を混ぜると、化学反応が起きてレアメタルを分離・回収できるが、悪臭も発生する。そのため、今は回収にはにおいのでない石灰などが使われているが、レアメタルだけでなく他の金属などの不純物も混ざっているので、再生されずにそのまま廃棄されることが多いという。

 大西さんらは化学反応が起きた直後に悪臭が発生することに着目。回収装置に悪臭をキャッチするセンサーを取り付け、悪臭が出るとすぐに作業をやめ、においを抑えることに成功した。

 昨年から独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」が行う回収技術の開発プロジェクトに佐賀大などと加わり、実用化を目指している。大西さんは「産業現場で大量に発生する汚泥からもレアメタルを回収できるよう精度を上げたい」と話す。

 関西大の芝田隼次教授は、窒素化合物とリン化合物を合成し、メッキの廃液からニッケルを一度に100%近く回収することに成功した。使用済みリチウムイオン電池に含まれるコバルトやマンガン、リチウムなどを個別に抽出することもできた。

 芝田教授は「多くの金属を回収でき、環境に害を与える廃棄物を出さずにすむ。これまでレアメタルのリサイクルは経済性が最も重視されていた。しかし、今後は周辺の環境を汚さないという視点も重要になる」と指摘する。

出典:読売新聞

産業廃棄物処理・リサイクル処理業者検索サイト【エコノハ】

一覧へ戻る