ヘリ訓練の合間に不法投棄監視 下妻市、都内会社と協定
2011/02/14
環境省
増え続けるごみの不法投棄を一掃しようと、下妻市は航空会社と連携し、原則として毎日、ヘリコプターで上空からの監視を始める。
市内のヘリポートを管理運営する航空機操縦士訓練会社「アルファーアビエィション」(東京都港区三田、齋藤静社長)と無償の監視協定を締結。ヘリの操縦を教える教官に訓練の合間に地上に目を凝らしてもらう。
山中に捨てられたごみや不法投棄を行う不審な人物を発見した場合、速やかに情報提供を受ける。県廃棄物対策課によると、県内自治体では初の試み。
市によると、ごみの不法投棄は、2009年度は市内31カ所で見つかり、撤去総量は約12・3トンだった。06年度から発見箇所・総量ともに約1・7倍になっている。本年度(1月11日現在)は既に40カ所で発見された。
ここ数年で不法投棄が急増した背景は「地上デジタル放送移行に伴うテレビの買い替えが大きい」(市生活環境課)という。昨年12月には市内の河川敷にアナログテレビ35台が放置されたこともあった。
本年度は不法投棄されたごみの中で、アナログテレビが占めた割合は約4分の1に上る。
市は夜間・休日にパトロールを実施したり、不法投棄の監視・撤去を行う臨時職員2人を雇うなど対策を講じてきた。しかし、市内には小貝・鬼怒川などの河川敷のほか、郊外には山林が点在。人目に付きにくい場所が多いこともあり、監視の目が十分に行き届かない現状があった。
「車では入れない山中にごみが捨てられることもある。河川敷の場合、草が生い茂ると、不法投棄を発見することは難しい」(同課)と地上からの監視体制に限界を感じていたという。
そこで市は先月末、同市高道祖の小貝川近くにあるヘリポートを管理する「アルファーアビエィション」に上空からの不法投棄監視への協力を要請した。
同所では1回1時間の訓練を1日6~8回実施。日中は市内上空をヘリが旋回していることが多く監視は容易だったため、申し出を快諾した。
同社の青山満男運航部長は「不法投棄をする人物を見かけたこともあったが、どう対応していいか分からなかった。訓練中は地上の目標物を確認しながら飛ぶので今後は山中や草むらにあるごみを発見したらすぐに連絡したい」と話す。
市と同社の協定締結は今月23日。4月から本格的に実施する考えだ。具体的にはヘリの操縦訓練中に不法投棄を発見したら、同社の教官が上空から現場写真を撮り、地上に戻ったら直ちにメールで報告書を市に送信する。不法投棄を行っているなど緊急性が高い場合は無線で地上のヘリポートに状況を説明し、市に通報する。
市と同社は「地上と空からの二重監視で下妻から不法投棄をなくしたい」と意気込みをのぞかせている。
出典:茨城新聞