プラごみ処理場の作業を体験
2010/09/28
環境省
弁当やカップめんの容器、菓子の袋、シャンプーや洗剤のボトル―。わたしたちが毎日の生活の中で、大量に出しているプラスチックごみ。
和歌山県田辺市では、昨年7月から市内で回収する、ほぼすべてのプラスチックごみをリサイクルに回している。集められたごみがどのように処理されているのか。リサイクル施設での手選別作業を体験した。
厳しい残暑が続くある日。田辺市元町の市ごみ処理場内にある「容器包装プラスチックリサイクル施設」を訪れた。ゴーゴーという機械音が響く中、大量のプラスチックごみが長さ約4メートルのベルトコンベヤーに載せられ、次々と押し流されてくる。
「ふたば福祉会」(同市文里)などの利用者ら10人の作業員が周りを囲み、ごみの山をかき分けながら「容器包装プラスチック」かそれ以外のプラスチックか、ペットボトルかなどを手作業で選別している。
危険防止のため手袋を二重にはめ、腕カバー、マスクを着けて作業に臨んだ。ベルトコンベヤーの前に立っていると、たくさんのごみが絶え間なく目の前を通過していく光景に少し気分が悪くなりそうになる。エアコンが付いていたため暑さはそれほど気にならなかったが、つんと鼻を突く腐敗臭がマスクの上からも襲ってきた。
今回体験したのは、大量のごみの中からペットボトルだけを抜き取る作業。想像していたよりも量が多く、すぐに流れに遅れてしまいそうになった。
作業員によると、夏場はペットボトルの量が冬場の2倍以上になるという。変形していてペットボトルだと分かりづらいものや、しょうゆの容器など一瞬の判断に迷うものも多かった。そうしている間にも、ごみの山はどんどん目の前を通り過ぎていく。ほかのことを考える余裕がないまま、しばらく作業に没頭した。
やっと少しずつ慣れてきたころ、手を動かし続けながら全体に目を向けてみると、ルールを守らずに出されたごみがあまりにも多いことに驚いた。食べ残しが入ったままの弁当がらやたばこの吸い殻が押し込まれたペットボトル、衣類や布製のかばんといった「燃えるごみ」や空き缶などの「資源ごみ」、茶わんなどの「埋め立てごみ」がしょっちゅう目に飛び込んでくる。
作業員に話を聞くと、汚れた紙おむつなど衛生的に問題のあるごみや、ライター、ガスボンベなど発火の恐れのあるもの、農薬の容器や刃物類、在宅用医療廃棄物82件などの危険物が混入していることもあると教えてくれた。作業中、服や手に釣り針が引っかかることもよくあるという。
作業を体験したのは半日だけ。任されたのも単純な作業だけだったが、予想以上に過酷で、場合によっては危険も伴うものだということが分かった。
市廃棄物82件処理課によると、2009年度に回収したプラスチックごみの量は約1800トン。ここ数年、ほぼ横ばいの状態だという。
同課は「ごみは、分ければ分けるほどリサイクルできるようになる。きちんとした分別は、埋め立てごみの軽減や環境保全につながり、結果的に市民の財政負担を軽くすることになる。拠点回収や店頭回収を積極的に利用し、最低でも『燃えるごみ』『プラスチックごみ』『資源ごみ』『埋め立てごみ』の4分別だけは守ってほしい」と呼び掛けている。
出典:紀伊民報