エフピコが「ボトルtoトレー」 廃PET樹脂を食品容器に再生
2011/10/29
環境省
発砲トレーのリサイクルを確立したエフピコがPETに乗り出す。使用済みペットボトルと透明トレーを高度な洗浄技術で再生する。
プラスチック食品容器最大手のエフピコが、使用済みPET(ポリエステル)製透明容器を透明容器にマテリアル(材料)リサイクルする。
同社は、1990年から発泡スチロールトレーを自主回収し、トレーにマテリアルリサイクルする「トレーtoトレー」に取り組んできた。2010年度の回収量は7347t(約18億3600枚)に達し、これを原料にした「エコトレー」は、同社が販売する汎用白色トレーの約7割を占める主力商品にまで成長している。
現在、同社は月間約3200tのPET製容器を販売する。このうちスーパーの店頭などで回収しているのは60tに過ぎないため、回収量を増やすとともに、外部から廃ペットボトルを月間約900t購入し、合計で約1000tの廃PET樹脂を調達する。
既に岐阜県輪之内町の中部PETリサイクル工場で再生原料を使った透明容器を試作しており、来年初頭までに販売し始める。日本には現在、再生原料を使った食品容器に関する法的な基準がないため、当面は表面には新品(バージン)原料を使い、芯に再生材を使う3層構造にする。
国内のPET製容器の食品容器への再生では、一度基礎原料に戻すケミカル(化学)リサイクルが先行する。ただ、ケミカルリサイクルはコストが高く、事業としては停滞している。エフピコは、従来のマテリアルリサイクルに高温の真空状態で揮発留分を除く工程を追加することで、マテリアルリサイクルながら、食品に使える再生技術にめどを付けた。
同工程にはドイツから導入した最新設備を使う。試作品は米食品医薬品局から食品接触容器用途で使用できるとの認証を取得した。
サントリーグループと協栄産業(栃木県小山市)も、類似した技術を使い2011年5月からペットボトル原料に廃ペットを使うと発表している。
食品容器への再生材の活用は、消費者のマイナスイメージが壁になる。20年かけて「トレーtoトレー」を起動に乗せたエフピコの粘りが再び求められそうだ。
出典:ECO JAPAN