エコ収益で給食に地元野菜…愛媛・東温市、最先端の食育
2011/06/17
環境省
排出枠・生ゴミ堆肥販売
愛媛県東温市は、今秋から学校給食センターで、二酸化炭素(CO2)排出枠の売却益で購入した地元産野菜を給食に取り入れる試みを始める。
同センターなどから出た生ゴミでつくった堆肥を地元農家に販売し、代わりに野菜を購入することも検討しており、同市は「資源の循環という理念を取り入れた新しい形の食育を提示したい」としている。(浅野友美)
市によると、同センターは市内小中学校や幼稚園など15施設の約3700食を毎日調理。2007年4月の設立以来、ボイラーの燃料には各家庭の使用済み天ぷら油を回収して製造した、バイオディーゼル燃料(BDF)を100%使用している。
BDFを使うことで08~10年度は、重油に比べて計774トンのCO2削減効果があったと計算。環境省のオフセット・クレジット(J―VER)制度の認証を受け、まずは08、09年度の520トンを排出枠として企業に販売することを決めた。今月末には認証を受け、すでに複数の企業から「子どもが食への理解を深めるため、収益が使われるなら協力したい」と申し出があるという。
排出枠は1トン当たり3000~6000円で取引。売却益で、普段使っている食材に比べて割高で、給食では提供が難しかった地元産の米粉パンや減農薬野菜、麦製品などを購入するとしている。
また、市は今年4月から、センターや保育所など8施設から出た生ゴミ(5月までで8383キロ)を回収し、堆肥化。この堆肥で栽培された野菜が松山市の大手スーパーの「地産地消コーナー」などに並ぶ仕組みが始まっているが、市は地元農協の組合員ら給食納入業者に堆肥を1トン約6000円で購入してもらい、野菜を購入する新しいルートをつくるという。
堆肥を小中学校の学校菜園で実施される食農教育で利用する取り組みも検討している。
BDFや堆肥が近場で調達できる上、地元の食材を多く取り入れることで、センターへの食材搬送時のCO2排出量抑制も期待でき、池川英信・市新エネ推進室長は「地域の経済活性化にもつなげたい」と話している。
出典:読売新聞