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【よく分かる!!廃棄物問題】#106 産業廃棄物税の問題点

2008/06/13

環境省

□ 産業廃棄物税の問題点

前回のメルマガでは、産業廃棄物税の全国的な導入状況についてご説明しました。今回は、産業廃棄物税の効果や問題点について見ていきましょう。

まず産業廃棄物税導入の効果から

産業廃棄物税を導入したほとんどすべての自治体では、導入後、その地域での産業廃棄物の発生量と埋立量が減少した模様です。

しかし、これは考えてみれば当然の結果でもあります。

元々、ゴミという取引価値が無いものに対し、更に税金をかけられるわけですから、ただでさえコストがかかるというのに、排出事業者としてはたまった
ものではありません。

「税金がかかるのなら、他の税金がかからない地域で処分しよう」

あるいは

「税金がかかるのなら、こっそりと不法投棄してしまおう」

という流れで、埋立量の抑制に傾くのが当然です。

「理屈はどうあれ、ゴミが減るのなら良いことじゃないか」

でも、本当にゴミ(産業廃棄物)は減っているのでしょうか?

三重県が2002年に産業廃棄物税を導入してから既に6年が経過しています。

その後、他の道府県も追随した結果、現在では27道府県、つまり日本の約半数の都道府県が産業廃棄物税を導入済みのわけですが、

産業廃棄物税導入(2002年)以降、日本全体での産業廃棄物の発生量は、減るどころか、増加しています。

2002年は3億9千万トンだったのに、2年後の2004年には、4億1千万トンに増えています!

もちろん、各都道府県単位での統計と、国の全体的な統計に多少の誤差が生じるのは仕方がありません。

場合によっては、私が推論したとおり、産業廃棄物税が導入されていない県に産業廃棄物の処理が集中したため、日本全体での産業廃棄物の発生量は増加しているのかもしれません。

いずれにせよ、現在の産業廃棄物税には、産業廃棄物の発生を抑制する効果はなさそうです。

法律などで、全国一律に課税をされるようになれば、発生抑制の効果がより明確に現れるのかもしれませんが・・・

次は、産業廃棄物税の問題点

既に、先ほど問題点の一部に触れたところですが(笑)、その他にも大きな問題点がありますので、それについて考えてみましょう。

岩手県などの一部の例外を除けば、多くの自治体は、産業廃棄物税の具体的な使途をHPなどで明確にしていません。

その点、岩手県の情報公開の姿勢には好感を持ちました。

※岩手県
http://www.pref.iwate.jp/~hp0315/zeijisseki/zei021.pdf

仕方がありませんので、産業廃棄物税の説明資料などを色々と調査してみる
と、多くの自治体は、産業廃棄物税導入の目的として

1.廃棄物の排出抑制の支援
2.リサイクルの推進
3.産業廃棄物監視強化

の財源に産業廃棄物税を充てると明言しています。

※例 奈良県
http://www.pref.nara.jp/zeimu/guide/sanpai.htm

どれも正論ではありますが、果たしてすべて行政が行わなければならない
ことなのでしょうか?
確かに、「不法投棄などの監視」は、行政が行うべき義務の一つであります。

しかし、それは行政本来の義務であり、言い換えれば、行政が最初から経費
を負担するべき仕事なのです。

適正に廃棄物を処理している排出事業者や、処理業者がコストを負担するのは、本来筋違いなのです。

「最近、この地域では空き巣の出没が続いているので、地域の方には、警官パトロール費用として、1世帯あたり1万円を負担してもらいます」

こんな話を警察の制服を着た人が持ってきたら「詐欺ではないのか!?」と疑うのが正常な反応です。

多くの産業廃棄物税は、上記の詐欺話?と本質的には一緒です。

コストを負担すべき者(不法行為者) とコストを負担している人(真面目な排出事業者等) が かい離しています。

「保険」でいうところの「モラルハザード」が、産業廃棄物税でも起こっているわけです。

正直者が馬鹿をみる・・・

あなたは産業廃棄物税についてどう考えますか?


「よく分かる!廃棄物問題」のバックナンバーはこちら

◆出典◆
行政書士エース環境法務事務所
行政書士 尾上雅典
http://www.office-onoe.com/

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