「新エネ」で先陣争い 北陸のメーカー
2011/06/10
環境省
原発事故でエネルギー政策の転換が迫られる中、北陸のメーカーで新エネルギー分野に 参入する動きが出てきた。焼却炉を手掛けるアクトリー(白山市)は20億円を投じ、焼 却炉で産業廃棄物を燃やしてエネルギーをつくる実験を始める。
コマツNTC(南砺市) の子会社は太陽電池用の検査装置事業を強化する方針で、大手企業の本格参入を前に、「 新エネビジネス」分野の先陣争いが激しくなっている。
アクトリーの実験は来年春ごろから、栃木県の自社工場で研究施設を備える「R&Dセ ンター」で始める。1日に150トンの廃棄物を処理できる焼却炉を今年中に新設し、廃 棄物を燃やして発電に使える熱エネルギーを回収する研究を進める。
R&Dセンターでは、排ガスの中から硫黄酸化物や窒素酸化物を同時に除去する「脱硫 ・脱硝」の技術も開発する方針だ。
水越裕治社長は「今後は単に廃棄物を燃やす焼却炉ではダメ。エネルギー化し、二酸化 炭素(CO2)削減につながる焼却炉づくりを進めたい」と話す。
福島第1原発事故を受け、菅直人首相は今後のエネルギー政策について、太陽光や風力 など自然エネルギーの割合を2020年代の早期に20%に拡大する方針を表明。関係者 からは「エネルギー関連技術の開発競争は一層激しくなる」(石川県経営者協会)との声 も上がっており、ビジネスチャンスととらえる企業は少なくない。
コマツNTC子会社のロゼフテクノロジー(南砺市)は、太陽電池など環境・エネルギ ー分野で検査装置の受注増加を目指す。2014年3月期には検査装置の売上高を全体の 半分の40億~50億円にしたい考えだ。
検査装置は昨年4月に市場投入した。太陽電池用のシリコン材料を点検する製品で、毎 秒1枚のスピードで不良品がないかを調べ、自動的に正常な製品と仕分ける機能を持つ。
中国のメーカーなどから6台の受注が決まり、このほかに10件程度の引き合いがある という。環境・エネルギー分野の需要取り込みを強めるため、今年中に市場調査専門の営 業員を配置する予定だ。
エネルギー関連分野では今後、事業参入が相次ぐとみられ、メーカーからは「いち早く 事業化し、技術を売り込むことが必要」(水越社長)との声も上がっている。
出典:富山新聞