ワーストの現場:’13県知事選/4 公害苦情件数−−1位 6割が「廃棄物等」 /茨城
2013/08/28
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◇市町村、県の「指導力」に期待
つくば市の中心部から車で約20分。「科学のまち」とは思えない薄暗い林道を抜けると、辺り一面にツタなどが生い茂る巨大な「里山」が現れた。ただし、この山は自然の産物ではない。緑の葉の下には土砂や廃プラスチック、コンクリートなど大量の廃棄物が埋まっている県内最大規模の不法投棄現場なのだ。
つくば市が嘱託する不法投棄監視員の田中重孝さん(63)は週に2〜3回、市内をパトロールする。「まさかこんな場所があるなんて……。初めて来たときはショックだった」。無造作に放棄された「ゴミの山」を見て、言葉を失った。同市廃棄物対策課によると、不法投棄された廃棄物は10トントラック数千台分とみられる。市内にはほかにも、大小約20カ所以上の同様の投棄場所が存在する。
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事態を重く見た市は、パトロールの強化や監視カメラの設置など各種対策に取り組んでいるものの、同課の担当者は「我々ができることは、これ以上の不法投棄を防ぐことくらいだ」と嘆く。不法投棄の廃棄物は、廃棄した者や土地所有者に撤去責任があり、撤去できない場合には行政が代わりに行うケースもある。つくば市の不法投棄で大半を占める建築廃材などの「産業廃棄物」は県の所管。しかし、県は「周辺環境にまだ影響を及ぼしていない」として撤去の見通しはたっていない。
ゴミの山はさらなる不法投棄を呼ぶ。悪循環が続く不法投棄の現場では、最終的に廃棄物が悪臭や水質汚染の原因となり、住民の不満を招くことになる。県の集計では2011年度、人口10万人当たりの公害苦情件数は125・6件に上り、全国ワースト1位だった。茨城県は過去10年でも連続して5位以内に入るワーストの常連で、全国平均(62・6件)と比べても2倍超と突出している。茨城県の場合、「廃棄物等」が苦情の約6割を占めている。
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県廃棄物対策課によると、茨城県は東京都に近いことから、都心の建築廃材などが持ち込まれるケースが多いという。特に県南、県西地区では10年度末現在の不法投棄事案(10トン以上)が100件を超えており、県央地区より約2倍も多い。県西地区のある市の担当者は「茨城は土地も広く、運んで来やすいのだろう」と推測する。
出典:毎日新聞