家電リサイクル「採算OK」
2013/04/19
ニュース
広島県は、レアメタル(希少金属)や貴金属を含む小型家電をリサイクルする事業の採算性を探るため、呉、東広島両市で実施したモデル事業の結果をまとめた。破砕機などの設備を既に持つ業者が参入すれば、利益を出せると分析。呉市は今秋にもリサイクル事業を始める方針でいる。
廃棄物の減量と資源の再利用を目的にした小型家電リサイクル法が1日、施行された。市町村は小型家電を分別収集し、国が認定したリサイクル事業者に引き渡す責務を負う。現在は大半を不燃物として市町村が収集、埋め立て処分している。
県内で小型家電のリサイクルを推進するには、事業者の採算が合う必要がある。実験では呉市役所や両市の家電量販店など計6カ所に回収箱を設置。昨年8月から不要な小型家電を募った。1月末までの半年間で、携帯電話やデジタルカメラ、アダプターなど1・9トンが寄せられた。
県内のリサイクル業者が手作業で分解し、基板225キロを選別。それを金属精錬所に持ち込み、レアメタルや貴金属を取り出した。
携帯電話の「小型S基板」と呼ばれる基板1トン当たりで、バリウム13・5キロ▽ニッケル12・6キロ▽チタン5・2キロ―のレアメタルや、金0・5キロ▽銀3・1キロ▽銅261・1キロ―の貴金属を回収できることが分かった。県はコストや精錬所への売却額を試算、事業化の可能性を探った。
分解作業に使う破砕機を既に持つ業者が参入し、無償で小型家電を引き取る場合、1トン当たり3万~7万8千円の利益が出るとの結果が出た。
一方、1台7500万円するとされる破砕機を新たに購入して参入する業者は、月100トン以上集めないと採算が合わないとした。県内で月100トンを集めるのは不可能とされ、手作業だけで分解する場合も人件費がかさみ、1トン当たり35万8千~56万4千円の赤字になるとした。
県立広島大生命環境学部(庄原市)の西村和之教授(環境衛生工学)は「民間事業として成り立つことが示された。ごみ減量化にもつながるリサイクルに市町は積極的に取り組むべきだ」と話す。
出典:中国新聞