廃棄物・リサイクル行政めぐる最近の動向を聞く-環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会
2013/03/15
ニュース
経団連は5日、東京・大手町の経団連会館で環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会(山田政雄部会長)を開催した。当日は、環境省の梶原成元・廃棄物・リサイクル対策部長から、廃棄物・リサイクル行政をめぐる最近の動向について説明を聞くとともに意見交換を行った。
梶原部長の説明概要は次のとおり。
■ 放射性物質に汚染された廃棄物の処理
放射性物質汚染対処特別措置法において、汚染廃棄物対策地域(福島第一原子力発電所事故に伴い設定した警戒区域および計画的避難区域等)以外で発生し、放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8000ベクレルを超える焼却灰等の廃棄物は指定廃棄物とされ、国が処理を行うこととされている。
指定廃棄物の処理は、排出された都道府県内で行うこととされているが、指定廃棄物が多量に発生している都道府県では、2014年度末を目途として、国が必要な最終処分場等を設置することになっている。
指定廃棄物の最終処分場候補地の選定にあたって、国は、最終処分場の設置が必要な5県(宮城、茨城、栃木、群馬、千葉)を訪問して協力を要請する。県や市町村との意見交換を重視して、手順を踏んで着実に前進できるよう全力で取り組む。
■ 第三次循環型社会形成推進基本計画の検討状況
国は、循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、循環型社会形成推進基本計画を策定している。現在、中央環境審議会において、第三次循環型社会形成推進基本計画の検討が行われており、今春に閣議決定される予定である。
第三次循環型社会形成推進基本計画(案)では従来同様、資源生産性、循環利用量、最終処分量等について、20年度の数値目標を掲げている。
また、同計画(案)では、質にも着目した循環型社会の形成に向け、(1)2R(リデュース・リユース)の取り組みがより進む社会経済システムの構築(2)使用済製品からの有用金属の回収の推進(3)低炭素・自然共生社会との統合的取り組み――等を掲げている。さらに、国際的取り組みを推進すべく、国内利用に限界がある循環資源の輸出の円滑化等を掲げている。
■ 廃棄物処理法による支障除去等の支援
産業廃棄物の不法投棄等により生じた支障を除去する地方自治体を資金面で支援するため、産業界と国の協力により、支障除去等のための基金が設けられている。これまで、基金は、支障除去等にかかる総事業費の4分の3(うち産業界が4分の2、国が4分の1を負担)を支援してきた。
今後の支援のあり方について検討を重ねた結果、13年度から15年度の支援については、基金は総事業費の10分の7(うち産業界が10分の4、国が10分の3を負担)を支援することとなった。16年度以降の支援については、これまでのやり方にとらわれず、15年度までの状況を踏まえながら、基金制度の必要性、妥当性も含めた見直しを実施する。
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その後の意見交換では、出席した委員から「第三次循環型社会形成推進基本計画(案)における数値目標は、3Rのポテンシャルを十分に踏まえたものになっていない。目標の進捗状況の評価にあたっては、内外の経済情勢やリサイクル技術等の動向などを勘案すべき」「産業界における3Rのポテンシャルは限界に来ており、規制緩和や政策的支援が不可欠である」との発言があった。
出典:機関誌 週刊 経団連タイムス