処分場からダイオキシン 青森・旧浪岡町
2012/10/03
ニュース
青森市は2日、同市浪岡吉野田の不燃物埋め立て処分場のごみ周辺にしみ出している水(浸出水)から、基準値の610倍のダイオキシン類が検出されたと発表した。処分場は旧浪岡町で1998年まで使用されたが、廃止の手続きに必要な水質調査が行われないまま14年が経過。長年放置されてきたずさんな実態が明らかになった。
市が今年実施している廃止に伴う調査によると、埋め立て地の地下水や浸出水を調べた全7地点で基準値(1リットルあたり10ピコ・グラム)を超える12~6100ピコ・グラムを検出。処分場周囲の地下水でも17地点中11地点で最大で基準(同1ピコ・グラム)の37倍のダイオキシン類が確認された。基準超の鉛やヒ素、フッ素も検出されている。
この処分場は町営として76年、不燃ごみや粗大ごみの処理場として使用が始まり、埋め立て量は推定11万3000立方メートル。市は「何が捨てられたかの記録がない」としている。ダイオキシン類はものを燃やした際に発生しやすい物質で、89年には処分場で3日間にわたる火災が発生している。
98年には旧厚生省から「遮水する設備や浸出水の処理設備がなく、違反のおそれが強い処分場」と指摘を受けた。これを受けて県は、安全確保のための水質調査を実施する予定を町に聞いたが、使用停止にする意向だった町は「予定なし」と返答したという。
町は2000年に廃止に向けた書類上の調査を行ったが、必要なボーリング調査までは実施しなかった。合併後、06年に立ち入り調査を実施した県が指導した際も市は対応せず、廃止の手続きに着手したのは10年だった。
2日の臨時記者会見で鹿内博市長は、「旧町や市は、県から指導を受けた際に適切な対応をすべきだった。ただ、周辺住民への健康や農作物などへの影響はないと考えられる」と述べた。
市は9日から地区住民への説明会を開くとともに、周辺の井戸水の水質調査を実施。廃止に向けた詳細な計画を作る。
出典:読売新聞