がれき9割超リサイクル 東松島市、宮城連続地震が教訓
2012/09/11
ニュース
環境未来都市を目指す宮城県東松島市が東日本大震災のがれき処理で、リサイクルを進めている。市内で発生したがれきの9割以上は資源として再利用する方針。大きな被害を受けた2003年の宮城県連続地震で、がれき処理に苦心した教訓を生かした。(石巻総局・高橋公彦)
市によると、約156万8000トンと試算した市内のがれきのうち、宮城県に処理を委託するのは廃畳や衣類、漁網、廃プラスチックなど約3万4000トンで、市が破砕した後に県の施設で焼却する。それ以外は全てリサイクルする計画だ。
がれきの29%を占める木くずのうち、自然木は破砕して建築・土木資材や地盤のかさ上げに使用、建築廃材は焼却炉の助燃剤やバイオマス発電の燃料に活用する。21%のコンクリートは破砕し、砂利などに使う。
市の大友利雅市民生活部長は「復興需要もあり、資材は不足している。復旧工事に使うため、がれきの再生材は備蓄しておきたい」と説明する。
被災自治体の多くは、がれき処理で回収・保管する1次処理に手いっぱいで、分別・破砕・焼却の2次処理や埋め立てなどの最終処分は県に委託している。
独自に処理している自治体は東松島市のほか、仙台市や松島町などで、仙台市は5割以上、松島町は8~9割のリサイクルを目指している。
東松島市は市建設業協会と協力した独自の仕組みで、がれきの回収、仮置き場への搬入段階から分別を徹底し、その後の処理作業の円滑化を図った。
今回の対応は、宮城県連続地震の反省を踏まえた。当時は市内で約9万5000トンのがれきが発生。分別しないまま仮置き場に山積みとなったため処理に手間取り、費用も約12億円と当初見込みを4億円も上回った。
大友部長は「震災で出たがれきは、かつては市民の財産だった。捨てるのではなく、資源として生かしたい」と話した。
出典:河北新報社