核燃料リサイクル、再処理事業撤退時は廃棄物を村外搬出
2012/09/10
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来週にも見込まれる政府のエネルギー・環境戦略の決定を前に、六ケ所村議会は7日、使用済み核燃料の再処理路線の堅持を求める意見書を全会一致で可決した。再処理事業から撤退する場合、日本原燃の施設内にある高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)や使用済み核燃料の村外搬出などを要求。政府によるエネルギー政策の見直し議論を「立地村の事情を無視して進められていることに不信・不安が募る」と強く非難した。
政府は将来的な目標として「原発ゼロ」を掲げる方針で、従来の全量再処理路線の見直しは必至の情勢。一方、政策転換の課題として「関係自治体の理解と協力」も挙げており、核燃料サイクルの中核施設が立地する地元議会の意思表示が、戦略の方向性にどのように影響するのか注目される。
意見書は、緊急動議による議員発議として本会議に追加提案され、橋本猛一議長を除く議員16人(欠席1人)の賛成で可決した。
村の歴史的経緯に触れて「賛否両論が渦巻く中で苦渋の選択をして受け入れを決定したサイクル事業は、二十数年にわたり協力してきた国策である」と強調。高レベル放射性廃棄物や使用済み核燃料の村外搬出、新たな廃棄物の搬入拒否など8項目を盛り込んだ。
野田佳彦首相と関係3閣僚、三村申吾青森県知事、古川健治村長宛てで、古川村長を除いて同日郵送した。
橋本議長は本会議終了後の取材に対し、意見書の提出に踏み切った理由を「来週には閣議決定される話もある」と説明。政府の見直し議論に対して、地元自治体の意向が反映されていない―とあらためて不快感を示した。
さらに「サイクルを止めるのであれば、並行して(ガラス固化体を)どこに持って行くかという議論が出ても不思議ではないが、全く出ない」と述べ、最終処分地などの課題が棚上げされている現状にも疑問を呈した。
出典:デーリー東北新聞社