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廃棄物貝殻で陶磁器用粘土

2012/04/02

環境省

 産業廃棄物だった貝殻を粉末にして粘土に混ぜることで、家庭のオーブンでも簡単に陶磁器が作れる魔法の土「貝粘土」が完成した。

 開発したのは瀬戸市孫田町の窯業原料メーカー「瀬戸製土」会長の谷口良治郎さん(81)。産廃の貝殻を活用できる上、低温で焼き上がるため燃料費も20分の1で済む。陶土の倍近い価格がネックだが、関心を集めそうだ。

 きっかけは東京で昨年2月にあったギフトショー。参加した谷口さんが、岡山県浅口市の商工会のブースで足を止めた。気になったのは、特産である藻貝のつくだ煮ではなく、横にあったその貝殻。「これは粘土に使える」と感じ、その場で「貝殻をもらえないか」と掛け合った。

 谷口さんはホタテガイと粘土、トウモロコシ樹脂でつくる次世代粘土「アイコーン」を開発した実績もある。軽くて割れにくいとして、2005年の愛・地球博(愛知万博)で納入された商品だ。

 貝粘土は、藻貝の貝殻55%、粘土30%、トウモロコシを原料とした樹脂15%で構成される。「貝殻の汚れが入ると製品が黒くなり、塩分が入ると土に粘り気がなくなる」といい、白さを維持するために編み出した技術は「企業秘密」だ。

 焼き上げる温度は150度。一般の陶磁器は1200~1300度なので、必要なエネルギーは極端に少ない。溶けた樹脂がつなぎ役になるためだ。また、低温で焼くため化学変化が起きず、土中に埋めれば5年ほどで土に返るという。

 貝殻を提供する水産加工会社の六車正憲さん(58)も、「貝殻は処理にも費用がかかり、活用方法を模索しているところ。きれいな陶器にしてもらえることは、こちらとしてもありがたい」と話し、双方に利点がある。

 まだ値は張るが「需要が高まれば、もっと安くなる。いかに広めるかが今後の鍵」と谷口さん。「家庭でも焼けるし、愛好家には陶芸がもっと身近になる商品」と自信をみせている。

出典:中日新聞

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