堂本・紀の川副市長逮捕/産廃業者から収賄容疑
2011/10/29
ニュース
紀の川市での産業廃棄物処理事業で産廃業者に便宜をはかった見返りに、海外旅行の接待を複数回受けたとして、県警捜査2課などは28日、同市副市長、堂本正秀容疑者(63)(和歌山市和歌浦東)を収賄容疑で逮捕、和歌山市の産廃処理会社「マアキンズ」社長、吉川勝也容疑者(34)(同市大垣内)=詐欺容疑で逮捕=を贈賄容疑で再逮捕した。
発表によると、堂本容疑者は、副市長の立場を利用して便宜を図った見返りに、2009年3月から10年3月にかけて、数回にわたり、韓国などへの計約30万円の海外旅行の接待を受けた疑い。
堂本容疑者は元県職員で、5年前に、県那賀振興局長から紀の川市のナンバー2へと転じた。市の最高幹部と産廃業者との癒着疑惑に、市職員の間には衝撃が走った。
28日午前7時過ぎ、和歌山市内の堂本容疑者の自宅に県警の捜査員が乗ったワゴン車が乗り付けた。県警から事前に連絡を受けていたと見られる堂本容疑者は、素早く車に乗り込み、そのまま岩出署へ向かった。
紀の川市の田村武副市長の携帯電話には、ちょうどその頃、堂本容疑者から電話が入り「警察に呼ばれたので今日は休む」と伝えられたという。田村副市長は「いつもと変わらない口調だったのだが」と戸惑いを隠せない様子だった。
堂本容疑者は、1970年に県庁入りし、観光課長や社会福祉局長などを歴任。2006年3月に県を退職し、同年4月、中村慎司市長の右腕に転身した。
堂本容疑者の周辺へ、県警が本格的な捜査の手を伸ばしたのは今月10日だった。
県警は、雇用関係があると偽って健康保険証をだまし取ったとして、吉川容疑者ら3人を詐欺容疑で逮捕。その後の調べで、吉川容疑者と堂本容疑者との不透明な関係が浮かび上がってきたという。
市の最高幹部の逮捕に、市民からは怒りの声が上がった。自宅近くに産廃の最終処分場があるという同市粉河の農業男性(42)は「『産廃処理場はどこかに必要』と割り切っていたが、不正があったというのならば裏切られた気分。真相を明らかにしてほしい」と厳しい表情で話した。
出典:読売新聞