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被災ゴミ回収人手不足 路上放置 悪臭に苦情も

2011/09/26

ニュース

 台風12号の被害を受けた被災地で、水に漬かった家財道具など大量の被災ゴミ問題が深刻化している。自治体は臨時のゴミ集積場を設置するなどして対応しているが、高齢化による人手不足や、車が被害を受け運搬手段がない、などの理由で多くのゴミが道路などに放置されたまま。

 一部には悪臭を放つゴミもあり、担当者は頭を痛めている。

 和歌山県那智勝浦町では被災直後から漁港と廃校になった中学校の2カ所に臨時のゴミ集積場を設置、住民にゴミを運び込むように呼びかけている。

 しかし、通行規制がある井関地区から集積場への運搬は難しい上、町も「分別していないゴミの回収にまでは手が回らない状態」。

 そのため、同地区では石井康夫区長らが空き地を借りて臨時のゴミ集積場とし、住民にゴミを分別して持ち寄るよう呼びかけている。集積場は30日まで開放し町側へ引き渡す予定だ。

 しかし、高齢者や、水害で車が流された住民など、被災ゴミの運搬方法がない人も少なくない。地区を通る県道には、土砂にまみれたテレビや冷蔵庫、畳など、運びきれない被災ゴミが、うずたかく積まれたままになっている。

 石井区長らは、高齢者宅などを中心にトラックでゴミの回収作業にあたっているが、集積場での分別作業にも追われ、十分手が回らないのが現状だ。

 大型の冷蔵庫を県道沿いに置いている男性は「車もないし、『持ってこい』といわれても無理だ」と、途方に暮れた様子でゴミの山を眺める。

 石井区長は「町側も大変なのは分かるが、一度現場に来てゴミの山の現状を見てほしい。行政の協力なしではゴミ問題の解決は難しい」と、疲れた表情を浮かべた。

 全世帯の約3割にあたる約600世帯が床上・床下浸水した古座川町でも、被災ゴミの問題は深刻だ。

 町所有の空き地など9カ所に臨時のゴミ集積場を設置したが、計1万立方メートル以上のゴミが集まり、重さに換算すると4千トンを超える。すべての処理には約1億円の費用がかかるとみられ、町側は県に補助を申請する方針だ。

 同町の焼却施設「宝島クリーンセンター」は、通常の倍となる1日16時間稼働で焼却作業を行っているが、ゴミの量は一向に減らず、すでに集積場9カ所のうち5カ所は、新たな運び込みを中止している。

 不燃ゴミの処理にも頭を悩ませており、和歌山県串本町内の民間企業に処理を委託しているが、処理が進まないため、今月中にも大阪府和泉市内の廃棄物回収業者と新たに契約を結ぶ予定だ。

 またゴミの山から出る悪臭で、町民からの苦情も出始めている。町の担当者は「すべての処理にはあと1カ月以上はかかる。町民の方のためにも、早く撤去作業を終えたいが、早期の解決は難しい」と話した。

出典:産経関西

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