テレビ不法投棄警戒
2011/06/11
環境省
7月24日の地上デジタル放送への完全移行を前に、アナログテレビの不法投棄が増えている。県によると、2009年度に県内で確認された不法投棄数は471台で07年度より117台増加。集計中の10年度はさらに増加しそうという。処理に追われる自治体は「移行前後に急増する恐れがある」と警戒を強めている。
「またテレビですよ」。岩国市環境事業所の男性職員が出入り口近くに野ざらしにされている6台のテレビを見て、ため息をついた。事業所では、先月下旬に保管していた分を処分したばかりだ。
岩国市は昨年度、50台のテレビを処分。今年度も5月末まで18台を回収した。いずれも9割以上が、地デジに対応していないブラウン管型などだ。同事業所の坂根剛幸所長(59)は「地デジ対応に買い替えた人が安易に捨てるのでしょう。このペースだと年間100台になってしまう」と嘆く。
テレビなどの家電を廃棄する際には、家電リサイクル法に基づき、リサイクル料金(テレビの目安は2000~4000円)を負担する。地デジ対応テレビに買い替えた人が費用を惜しんで捨てたり、悪質な回収業者がコスト逃れを図ったりする例が多いとみられている。自治体が不法投棄を把握すれば保管後に税金で費用を肩代わりすることがほとんどだ。
岩国市は、例年約30万円の処理費予算を今年度は約70万円に引き上げた。谷底や林道に監視カメラを設置することも検討している。
他の自治体も増えるテレビの不法投棄に頭を痛めている。
昨年度69台の投棄が見つかった山口市は「これ以上増えたら、予算が足りなくなる恐れがある」と困惑。4月だけで9台が確認された周南市では、防止策の一環として自治会単位のパトロールを計画している。
下関市は過去に投棄されていた場所に監視カメラ16台を設置している。処分台数は09年度の42台から10年度は47台とほぼ横ばい。今年度は2台(4月末現在)にとどまっているが、同市廃棄物対策課は「(地デジ対応の駆け込み購入などで)今後、急増する可能性もある」と警戒している。
不法投棄は廃棄物処理法違反となり、5年以下の懲役、1000万円以下の罰金が科せられる。県廃棄物・リサイクル対策課は「不法投棄は明らかな犯罪。投棄した業者や人物を特定すれば、厳しい対応で臨む」としている。
出典:読売新聞