遮水シート破損か 明野処分場
2010/10/06
ニュース
漏水システムが「異常」検知 廃棄物搬入を停止
北杜市明野町の廃棄物最終処分場「県環境整備センター」(明野処分場)を運営する県環境整備事業団(理事長・横内正明知事)は5日、明野処分場の漏水検知システムが異常を知らせたため、同日から廃棄物の受け入れを停止した、と発表した。
システムの異常検知でトラブルが分かったのは、昨年5月の稼働後初めて。3層構造の最上部に当たる上層遮水シートが破損している可能性が高いとみているが、地下水集配水管への漏水は確認されておらず、「汚水の流出の恐れはない」(事業団)という。
異常があった区域は約5メートルの高さまで廃棄物が埋め立てられていて、今後廃棄物を掘り返して調査する方針。再開のめどは立っていない。廃棄物受け入れ停止が長期化する可能性も出ている。
事業団によると、漏水検知システムは、上層遮水シートを挟んで碁盤の目のように銅線が張られ、シートが破損して水が漏れると通電して異常を知らせる。通常、電流値はないが2日午後、計測している5千地点のうちの12地点、広さにして192平方メートルの範囲で異常を記録した。
最大値は、漏水時の想定値(6・4ミリアンペア)を大幅に上回り、計測上限の50ミリアンペアに達した。3日の計測も同様の異常値を示した。4~5日、システムの業者を呼んで誤作動の可能性を調べたが、誤作動ではないことが分かった。
処分場は上層遮水シートが破損しても、下層遮水シートなどが地下への漏水を防ぐ構造。5日までに地下水集排水管の監視用マンホールや観測井戸を調べたが、漏水は確認されなかった。
事業団は「上層遮水シートが破損している可能性が高い」と説明しているが、異常地点周辺は8月7日以降、シートを破損する恐れのある重機での作業は行っていない。処分場は底面から最高で11メートル埋め立てる計画で、「高さ5メートルの埋め立て量で、廃棄物や覆土の重みからシートが破れることは構造上考えられない」(事業団)といい、詳しい原因が分かっていない。
今月6日以降、異常地点に埋め立てられている水道管やスレートなどの非飛散性アスベスト含有物を掘り返し、上層遮水シートの状況を確認する。処分場では今年1月、委託業者が作業中に重機で上層遮水シートを破損する事故があり、約2週間にわたって受け入れを停止した。
今回のトラブルでは、埋め立てた廃棄物を掘り起こし、シートの状況を確認するため、長期間にわたって廃棄物の搬入がストップすることも予想される。
処分場の安全性を問題視し、建設当初から反対してきた、明野廃棄物最終処分場問題対策協議会の篠原出代表は「地元住民の不安を無視し、搬入を最優先したツケだ。県側は安全性を強調してきたにもかかわらず、事故が相次いでいる現状では操業を完全にやめることも考えるべきだ」と話している。
出典:山梨日日新聞