産廃数千トン放置長期化 代表者は行方不明 大崎
2010/07/20
ニュース
会社の事業不振やずさんな処理計画が原因で、産業廃棄物の不法投棄現場の原状回復が難航する事態が宮城県内で目立っている。
大崎市鹿島台では、産廃処理会社の敷地に捨てられた数千トンもの産廃撤去が宙に浮いたままだ。行政の指導や措置命令に従わない例も多く、廃棄物の放置状態は長期化している。
関係者によると、2000年に設立された大崎市の産廃処理会社は、02年以降、廃プラスチックなどを野積みしたとされる。当時、会社の工場には処理能力を上回る廃プラが次々と搬入された。
環境に影響を及ぼす恐れがあるとして、撤去を求める宮城県の措置命令にも従わなかったという。
会社の代表者は05年4月、廃棄物処理法違反容疑で宮城県警に逮捕され、有罪判決を受けた後、行方不明になった。廃棄物を持ち込んだ関東の業者は倒産した上、敷地の登記上の所有者は死亡している。撤去のめどは立っておらず、責任を追及する対象がないのが現状だ。
今のところ周辺環境への影響は確認されていないが、将来的には廃プラが劣化し、周囲に飛び散る可能性があるという。
東松島市では、産廃処理業者が汚泥入りドラム缶170本を自社所有地に埋めた後、休眠状態となった。
同社は03年ごろ、現場に中間処理施設の建設を計画。岩手県の業者から汚泥処理を受注したが、建設計画が中止となり、処理できなくなったという。
宮城県は、ドラム缶の撤去を求めた命令に従わなかったとして、東松島市の業者を今年4月、石巻署に告発。ドラム缶は撤去されたが、県警は立件に向け、詰めの捜査をしている。
岩手大の颯田尚哉教授(物質環境動態学)は「不法投棄を防ぐには、過去に行政指導を受けた業者に対して産廃処分業の許可を更新しないなど、より実効性のある対策を講じる必要がある。住民は地域の環境を自分たちで守る意識を持つことが大切だ」と指摘する。
出典:河北新報社