登米の畜産業者 死んだ豚3000匹不法投棄
2010/07/15
ニュース
宮城県石巻市の農場敷地に35匹の豚の死骸(しがい)を不法投棄したとして、宮城県警に2009年3月、廃棄物処理法違反容疑で摘発された登米市の畜産業者が、長期間にわたって約3000匹の豚の死骸を投棄していたことが14日、宮城県の推定で分かった。
適正処理に必要な支出を抑えるため、農場に死骸を埋めるなどしていた。
関係者によると、不法投棄は08年秋、農場周辺の住民が「農場の辺りから汚水のようなものが流れている」と県などに届けて発覚した。畜産業者は県などの調べに「重なり合って圧死したり、ストレスで死んだりした豚を十数年間埋めていた」と説明した。
産業廃棄物に当たる家畜の死骸は本来、収集運搬業者に委託し、飼肥料の原料に加工する化製場へ運ばなければならないが、畜産業者は「費用が掛かり大変」などとして怠っていたという。
県は、業者が投棄した豚を約3000匹と推定した。投棄した量を示す書類などはなく、死骸も既に形状をとどめていなかったことから、業者の説明を基に算定した。
不法投棄した産業廃棄物として、死骸やその油脂と土砂との混合物約20トンを認定し、畜産業者に処分を指導。業者は指導に従って処分を終えた。09年3月に逮捕された社長らは既に有罪判決を受けている。
環境省によると、08年度に全国で判明した家畜の死骸の不法投棄は2件で計32トン、03~07年度の5年間でも2件、計14トン。畜産業者の投棄量約20トンは突出している。
東北各県の廃棄物、環境対策の担当者は「家畜の死骸の不法投棄としては聞いたことがない規模」(青森県環境政策課)と驚いている。
出典:河北新報