不法投棄船舶:6管本部管轄海域で512隻 即効策なく頭痛の種 /広島
2010/06/28
ニュース
6月は海洋環境保全推進月間。瀬戸内海を管轄する第6管区海上保安本部は、船舶の不法投棄に頭を悩ましている。
管轄する海域で確認している投棄船舶は512隻。
近年、減少傾向にあるとはいえ、全国の半数以上を占めている。漁業やマリンレジャーが盛んな海域だけに即効策はなく、地道な啓発活動を続けるしかないのが実情だ。
同本部が昨年、新たに175隻の投棄船舶を確認。前年までの未処理分337隻と合計すると、500隻を上回るが、07年の668隻、08年の629隻からは減少した。大部分は小型の漁船やプレジャーボート。マリンレジャーの環境が整う広島、岡山、山口ではプレジャーボート、漁業が盛んな香川、愛媛は漁船が多いという。
不要になった船は、専門業者に依頼しての解体や、日本舟艇工業会のリサイクルシステムに回すなどして処理するが、いずれも経費がかかる。小型船舶は6年ごとに定期検査(1万1600~4万3400円)が必要で、維持経費に耐えられなかったり、高齢の漁業者が死亡したなどの理由で投棄するケースが多いという。
海洋汚染防止法では、不法投棄には1000万円以下の罰金を科すことができるが、罰金を払った違反者が開き直って放置し続ける悪質な例も。
6管本部の巡視艇37隻が見回りをしているが、海洋事故への対応などの任務の傍らでは限界がある。同本部の神崎和徳・環境防災課長は「長期にわたるアプローチが必要。社会に『海を汚さない』という思想を広げるしかない」と言う。
子ども向け海洋環境保全教室などを通じて、地域から情報を発信してもらい、推進月間の今月は、海のパトロールや各種啓発活動に力を入れている。
出典:毎日新聞社