産廃不法投棄摘発:委託業者取り締まり強化 沖縄県警、業界に警鐘
2010/01/25
ニュース
糸満署が2009年9月の産業廃棄物の不法投棄事件に絡み、県内で初めて産廃処理業者に処理を委託した建設業者4社と2個人を産業廃棄物処理法(委託基準)違反容疑で21日までに書類送検した。
過去の不法投棄事件では実行犯だけが捕まっていたが、今後は委託業者も摘発することで、不法投棄を繰り返す産廃業界に警鐘を鳴らす目的がある。
しかし、摘発された業者は「罰せられるとは知らなかった」などと述べ、違法という認識が低い。その結果、不法投棄現場では畳、ブロック、不用な内装などの建築廃材が地中に埋まったままだ。
委託業者の初摘発のきっかけは、糸満署管内で09年夏、産業廃棄物の不法投棄事件が2件相次いで発覚したためだ。
そのうち、09年9月に八重瀬町仲座で2業者を逮捕した事件は、約1万平方メートルの敷地に約103立方メートルの廃棄物が埋められ、「地中に埋められた事件では過去10年で最大の規模」(捜査関係者)だった。
その後の調べで糸満署は、逮捕された処理業者に、建設会社など数十社が違法に委託していた情報を把握したが、そのうち、確実な証拠のある4社2個人を同法違反で摘発した。
産業廃棄物処理法では、処理や運搬を委託するには、運搬先や処分場所について、書面で契約することを義務付けている。罰則は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金となる。
しかし、摘発された建設業者の中には、契約について知らない者や、知っていても「長年の付き合い」「相手を信用していた」「途中からうやむやになった」として、契約しない業者もいた。複数の業者は「同業者らも知らない」と話しており、廃材を出す建設業界では法律違反が繰り返されているとみられる。
県警は、相次いだ不法投棄と違法に委託する業者の多さから、今後は委託する業者も積極的に取り締まる捜査に切り替えるという。
県産業廃棄物協会の安里成一会長は「排出業者は自分たちに『責任はない』と考えているが、法的にも責任が問われる。この事件が排出側の意識を改める機会になってほしい」と期待を込めた。
出典:毎日新聞社