群馬のエコパワー:/6 スーパーごみ発電 /群馬
2010/01/12
環境省
◇高効率で売電も安定
ごみ焼却時の熱を利用する廃棄物発電。その中でも特に発電効率の高い「スーパーごみ発電」と呼ばれるシステムが、高崎市高浜町にある高浜発電所で稼働している。
高浜発電所と隣接する高浜クリーンセンターには、高崎市内の一般家庭などから出る可燃ごみが、年間11万トン以上集まる。独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)と県企業局が81年、「未利用エネルギーの有効活用」を掲げ、同発電所の建設計画をスタートさせた。完成は96年11月。全国初のスーパーごみ発電システム導入だった。
このシステムは、ごみを燃やした熱で水を蒸気に変えタービンを回すと共に、ガスを燃やしてタービンを回す、二つの方法を組み合わせた複合発電だ。具体的には、まず、天然ガスなどを燃やしてガスタービンを回し発電。同時に、ガスタービンから出る約500度の排ガスで、ごみの焼却熱で加熱された約255度の蒸気を約400度まで再加熱し、蒸気のエネルギーを高め、蒸気タービンを回す仕組みだ。
排ガスのエネルギーを有効活用することで、ごみによる発電の効率が向上する。単にごみの焼却熱で蒸気を加熱し、タービンを回すだけの廃棄物発電では、発電効率は10~15%。スーパーごみ発電では約35%と2倍以上の高い効率を実現した。環境省によると、発電効率と発電電気量は比例し「増えた電気量に見合う、石油などの化石燃料由来の二酸化炭素(CO2)を抑えられる」という。
高浜発電所の出力は、ガスタービンが約1万5000キロワット、蒸気タービンが約1万キロワットの計約2万5000キロワット。仮にごみだけを燃やして蒸気タービンのみを稼働させたとすると、季節や天候、ごみに含まれる水分の量などに左右され、出力は約3800~6600キロワットと、小さく不安定になってしまう。同発電所は、発電した電力のすべてを民間の電力会社に売却しており、桜井樹郎次長は「複合発電のおかげで、地域に安定した電力を供給できる」と自慢する。
資源エネルギー庁によると、全国の廃棄物発電施設は、計322カ所で出力155・3万キロワット。このうち、スーパーごみ発電施設は高浜発電所をはじめ、堺市や北九州市、千葉市の4カ所だけで、出力計9万8990キロワットにとどまっている。
建設費用が高いことが要因に挙げられるが、県発電課の篠原篤夫次長は「スーパーごみ発電は、未利用エネルギーの有効利用や安定した電力供給を見込める発電方法だ」とメリットを強調する。人間が生活する限り、ごみは生じる。このエネルギーを生かさない手はない。
出典:毎日新聞社