関テクノハイランドに家電リサイクル基地
2009/12/12
環境省
モノづくりの集積地にモノを壊す一大拠点を造るという計画が、関市の工業団地・関テクノハイランド(テクハイ)で進められている。
パソコンやエアコンを徹底的に壊し、破砕されたモノからレアメタルなどを回収するリサイクル基地で、都市鉱山から希少な資源を発掘するエコ施設。動脈産業から静脈産業へと企業誘致の転換がもたらした計画は、テクハイに循環型社会を支える役目を加えた。
テクハイは県土地開発公社が2000年に開発。約42万平方メートル、18区画の分譲地に12社が進出し、10社が操業している。全社が操業した際の年間製造品出荷額は、市全体の2割ほどの約1千億円が見込まれているが、不況で自動車関連企業が取得を予定していた土地の一部の約3万平方メートルについて今年4月に予約を取り消した。
県などは取り消しとなった分譲地の交渉を行い、家電リサイクルを手掛ける木村メタル産業(愛知県小牧市)が取得し、リサイクル基地を設けることになった。同社は06年にテクハイで関エコテクノロジーセンターを開設、使用済み家電を手作業による解体と機械での破砕によって処理し、貴金属を回収して販売している。
取得する用地には廃棄物処理工場や研究施設などを整備。テクハイでの処理能力を月1500トンから3500トンに拡大し、レアメタルなどの回収効率を高める。また、同社は障害者雇用に取り組んでおり、新しいエコ施設では30人ほどの雇用を計画している。
製造業の企業誘致は盛んだが、テクハイでは誘致企業についてモノを生産する分野から廃棄物の処理や資源化の分野に転換。障害者雇用でも注目される工業団地となる。
関市での講演会で経済ジャーナリストの財部誠一さんは、劇的に変化する社会でのあるべき思考の在り方を「論理を転換すること」と説いた。今後は社会参加にエコの視点は欠かせない。新しいリサイクル基地の稼働に期待したい。
出典:岐阜新聞