06年度102トン→08年度47トン
2009/12/11
ニュース
前原市が、ごみの不法投棄対策に取り組み成果を上げている。いったん設置したごみかごの多くを撤去してパトロールを強化した結果、2006年度に100トンを超えた回収量が08年度はほぼ半減した。
前原市は福岡都市圏にあり、監視の目を逃れやすい山間部も多い。市は1993年に「空き缶等の散乱防止及びその再資源化の促進に関する条例」を施行したのを機に、空き缶やペットボトルなど再資源化が可能なものを回収するためのごみかごを市内179か所に設置した。
ところが、対象品目以外の家庭ごみが大量に持ち込まれるようになったことから、07年2月以降、山間部など103か所で撤去に踏み切った。併せて、分別を徹底するとともにパトロールを強化した。
パトロールは現在、市の委託を受けた糸島地区シルバー人材センターが連日実施している。
取材で同行した小島立也さん(65)と森行戈人(ほこと)さん(65)は、経験と土地鑑がものを言うパトロールを担当して3年目。山中にある林道や高速道路の高架下など不法投棄のターゲットになりやすい場所をトラックでくまなく巡回している。
同市東の市道脇にある林では、「不法投棄には罰金」と書かれた看板のそばにごみが散乱していた。ポリタンクやステンレス製の支柱、タイヤ、ペットボトル、酒の空き缶……。ほんの数分で、ごみ袋三つがいっぱいになった。
福岡市との境にある峠の県道脇には、鳥居に似せた朱色の建造物。「ごみを捨てると罰が当たる」という心理に訴えようと、市が08年3月以降、12か所に設置した。設置場所ではごみの量が格段に減ったという。
こうした取り組みが功を奏し、回収量は06年度の102トンをピークに減少に転じ、昨年度は47トン。それでも、回収や処分などに1400万円がかかった。
前原市は来年1月1日、志摩、二丈両町と合併して糸島市になる。パトロールの対象地域も広くなるが、市生活環境課の金谷康彦課長(53)は「美しい自然は糸島の宝。不法投棄がなくなるまで地道に取り組むしかない」と話している。
出典:読売新聞