設置許可取り消しへ 春日井の産廃施設
2009/12/02
ニュース
愛知県春日井市に建設された産業廃棄物処理施設について、同県は、稼働前の試運転中に2度にわたる改善命令を出したにもかかわらず、臭気などの測定値が維持管理上の基準値を超えたとして、設置許可を取り消す手続きに入った。環境省によると、稼働前の産廃施設に対し、設置許可を取り消すのは極めて異例という。
同施設をめぐっては、地元住民らが操業差し止めを求める訴訟を起こし、名古屋地裁が10月、「施設は構造基準に適合し、健康が侵害される可能性を認めるだけの立証がない」などと請求を棄却。司法と行政の判断が分かれることになる。
施設は、名古屋市東区の遊技場経営会社「名成産業」が事業主となっている産廃中間処理の焼却施設。2004年に県が設置を許可し、庄内川右岸沿いの春日井市松河戸町の約1700平方メートルに建設された。
08年3月と同年10月の2度の検査で、いずれも排ガスや騒音、臭気が基準を超えたとして、県は改善を命令。廃棄物処理法では、改善命令で是正されなかった場合はただちに設置許可が取り消されるが、県は「基準超過の物質や測定場所が異なった」などとして、異例の2度にわたる改善命令を出した。
しかし今年6月の3度目の検査でも臭気などの項目で基準値を超えたため、県は近く、許可取り消し処分にあたって事業主の言い分を聞く聴聞を開く。
県によると、通常の手続きでは、事業主が設置許可の申請時に、臭気や騒音、排ガス量などが周辺の生活環境に影響しないよう維持管理計画を策定。県は施設の稼働後に、計画に適合しているか検査する。
今回の施設は構造が特殊な上、周辺住民からの反対運動も強く、県が試運転の段階で検査を実施していた。
設置許可が取り消された場合、環境アセスなどを含む申請手続きをすべてやり直す必要があり、再び許可を得るのは困難。事業主側が処分の取り消しなどを求めて訴訟を起こす可能性もある。
出典:中日新聞