ごみ地産地消、軌道に・身延の処理施設
2009/12/01
ニュース
■生ごみ1カ月10トンを堆肥化、販売
峡南衛生組合のごみ処理施設(身延町下田原)で、生ごみから堆肥(たい・ひ)を作る取り組みが進んでいる。堆肥は1袋(15キロ)を500円で販売。売り上げは順調で、組合は地域を巻き込んだ「ごみの地産地消」を目指している。
■「安く安全」と好評 焼却費年600万円浮く
組合は、身延町と早川町、市川三郷町の一部からごみを集める。堆肥にする生ごみは、1カ月10トン。組合の遠藤稔所長(58)が06年に堆肥作りの研究に着手し、約2年かけて販売にこぎつけた。遠藤所長は「ごみが集まる施設なのだから、それを有効利用しない手はない」と話す。
管内の旅館や食堂、病院など60施設にごみを入れるバケツと分解を早める発酵促進剤を配り、1週間に1度回収。旅館や食堂の従業員は、生ごみをバケツに入れるたびに、発酵促進剤をふりかける。
当初は、回収したバケツの中にポリ袋などが交ざっていることもあったが、「繰り返し協力をお願いし、皆さんの意識も変わった」(遠藤所長)。今では余計なものが混入していることは少ないという。回収量も当初に比べて月3トン増えた。
堆肥の作り方はシンプルだ。回収したごみを粉砕機にかけてペースト状にし、1週間ほどおいて乾燥させる。そこに米ぬかやもみ殻を混ぜ、さらに1週間ねかせる。化学物質を使わないので、安全に作物を育てることができるという。
堆肥は昨年7月から、組合管内の一般家庭や農家に販売。昨年は1066袋が売れ、今年は11月末までに2675袋を売り上げた。現在は1カ月300袋の生産が限界だが、来年は年間4千袋を作る予定だという。
100袋を購入した市川三郷町の農家石川茂保さん(57)は、「値段も安くて助かる。こういう施設が堆肥を作るのは効率的で、非常に良いこと」と話す。回収に協力している下部温泉の旅館「源泉館」の依田由有子さん(50)は、「つくった野菜を宿の料理として出せれば、面白い取り組みになると思う」と期待を寄せる。
生ごみは1トン焼却するのに少なくとも5万円の費用がかかるため、年間600万円の経費削減になり、二酸化炭素の排出も減らせる。生ごみの大半は水分のため、焼却炉の消耗にもつながっていた。
今後は、組合で回収する脱水汚泥も堆肥に変えていくという。遠藤所長は、「どこだって簡単にできること。この堆肥が土壌改良につながり、地域のお年寄りの営農意欲が出ればうれしい」と話した。
出典:asahi.com