多治見市も監視カメラ
2009/10/19
ニュース
地デジ移行へ警戒
ゴミの不法投棄を防ごうと、多治見市が9月から移動式の監視カメラを市西部の山林地帯に設置した。2008年度に市内で確認された不法投棄のうち、この山林地帯が全体の7割以上を占める。市は地上デジタル放送の切り替え(2011年7月)に伴うテレビの買い替えなどで家電製品の投棄が増えることを予想し、警戒を強めている。
市環境課によると、昨年度に確認された不法投棄は222件で、00年度と比べ4倍近く増えた。回収した投棄物の総重量は約25トン。投棄場所は、愛知県と接し交通量の多い国道19号、248号や、林道など山中を通る道路が多い市西部の池田、小泉、根本地域、市北部の姫地区が多い。
投棄物は家庭系の一般廃棄物が9割以上で、家電製品が大半を占め、内訳はテレビ61台、冷蔵庫33台、洗濯機16台、エアコン7台などだった。同課は「この4品目が突出しているのは、廃棄する場合、家電リサイクル法で有料処理が義務づけられたため」と説明する。山中の林道沿いにテレビが山積みされるなど、明らかに業者と思われる不法投棄もあったという。
市は不法投棄された4品目を処分するため、07年度に39万2000円、08年度に38万4000円のリサイクル料を業者に支払った。ゴミの収集運搬を行う市三の倉センターでは「環境破壊だけでなく、処理に税金が使われている。捨て得は許されない行為」と話す。
中津川市は今年7月から3か月間、福岡町内の山中の道路沿いに国の貸し出し用の監視カメラを設置したところ、不法投棄が激減した。市環境政策課は「24時間監視したところ、家電製品の不法投棄はゼロだった。10年度は市費で購入したい」と抑止力を認める。
07年に43万円のリサイクル料を支払った恵那市も昨年12月、2台目の監視カメラを導入し、笠置町の県道沿いに設置。市環境課は「効果は上々。山中に道路を抱えた自治体はカメラの設置台数を増やすことを検討すべきだ」と強調する。
土岐市では先月、投棄物を保管していた倉庫がいっぱいになったため、リサイクル料22万円を支払って業者に引き取ってもらった。このうちテレビは60台。市環境課は「投棄量は減少傾向にあるとはいえ、テレビの多さは際立っている」と指摘する。
総務省の今年3月の調査によると、地上デジタル放送に対応するテレビ受信機を持っている全国の世帯は60%。同省東海総合通信局放送課は「エコポイント制の導入で買い替えが増えた。
制度は来年3月まで実施されるため、一気にテレビの買い替えが進む可能性がある」とみている。多治見市環境課は「監視カメラの設置効果でモラル改善の一定の効果が表れている。引き続きデジタル放送化に伴う不法投棄に備え、監視を強化したい」としている。
出典:読売新聞