完全リサイクルバッグを世界に発信
2009/10/13
環境省
1986年の創業以来、OEM(相手先ブランドによる生産)でかばんなどの袋物を中心に製造してきたサンワード(大阪市天王寺区)。
お客さんありきの“待ち”のスタイルから脱却し、一歩前へ踏み出したいと思った池田智幸社長は、3年前に自社ブランドとしてペット用雑貨の開発に乗り出しました。デザインや縫製のノウハウを持つ同社は、OEMでペット用雑貨の製造も手がけていたことから、開発は順調に進みました。
しかし、池田社長には商品を売るという経験がなく、販路もありませんでした。そこで、ある見本市に出展したところ、ペット専門の通販会社から声がかかりカタログへの掲載が決まりました。現在では通販のほか専門店などでも販売し、約30アイテムまで商品が増えています。
そして、自社ブランド第2弾として現在準備を進めているのが、ペットボトルのリサイクル素材を使ったかばんと文房具です。1年ほど前からリサイクル素材に興味を持っていた池田社長は、いろいろなメーカーに声をかけ、最終的に大手繊維メーカーとともに環境考慮型の素材開発に着手しました。
まず、ペットボトルを粉砕してできた綿(わた)に顔料を混ぜて糸にし、織り上げた生地は100%リサイクル素材で、色あせや色移りしにくい特長を持っています。
この素材を使った商品は、万が一、破れてしまっても、工場でまた糸に戻すことができるという完全循環型のシステムです。この取り組みは大手企業などからも支持され、販促グッズとしての引き合いもあるそうです。ブランド名は「RAU-RAU-G(らうらうじ)」。これは、「上品で洗練されていて美しい」という意味を持つ古語で、世界に向けてこのブランドを発信していこうという思いから、日本名をつけました。
池田社長自ら素材開発に携わっただけに、その思い入れは深く、「地球環境との共生を図り、自然と生命を大切に」というコンセプトを消費者に伝えるため、自社のホームページで手作り絵本を公開してブランド認知度を高める発信もしています。
出典:産経関西