ペットボトル再処理業者、市況に翻弄
2009/07/14
環境省
廃棄ペットボトルを処理してリサイクル繊維などの原料をつくる再生処理業者が、収益環境の悪化に苦しんでいる。昨年は廃棄ペットボトル市況の乱高下が経営を直撃。今年は在庫が積み上がり対応に苦慮している。鉄スクラップや古紙のような安定した安定したリサイクルシステムの確立は一筋縄ではいかない。
廃棄ペットボトルは自治体などが回収。約3分の2を日本容器包装リサイクル協会(東京・港)が実施する入札を通して国内の再生処理業者が買い付ける。残りは自治体が中国などへの輸出業者向けに独自に販売している。
昨年前半は中国の需要急増で廃棄ボトルが不足し、1キロ30円程度だった国内市中価格は70円程度まで上昇。業者は足りない量を市中から調達するためコストが上がったが、製品となる粉砕片の「フレーク」の価格には転嫁しきれなかった。
昨秋からの景気悪化局面ではフレークの市中価格が下落。廃棄ペットボトルは主に協会の入札で調達してくるが、入札は原則として年初に1回実施されるだけで、期中に仕入れ価格を引き下げることは難しい。
自治側体は昨年の市中価格の乱高下に懲り、今年度は安定した価格で処理できる協会入札への供給量を増やしてきた。処理業者側もフレークの需要回復を見込んで一定量を買い付けたが、その後も国内需要は回復せず在庫が増加している。
協会では国内の一貫したリサイクルシステムの確立を図るため、廃棄ペットボトルの海外への転売や中間処理製品の輸出を認めていないため、処理業者は、需要が回復してきた中国への輸出もできない。「需給や価格の変動が激しく一向に経営環境が安定しない。業者の脱落も後を絶たない」(大手処理業者)と話している。
出典:NIKKEI NET