ゲリラ的 不法投棄横行
2009/07/03
ニュース
県内の山間部などを狙った小規模な不法投棄が相次ぎ、県警は自治体や住民らと連携し、監視態勢を強めている。以前は県外のダンプカーによる大規模な不法投棄が中心だったが、目立たない場所に「ゲリラ的」に捨てる犯行が横行しているためだ。県警は「規模は小さくても悪質な違反は許さない」と摘発に全力を挙げている。(寺田剛)
茂原市郊外のゴルフ場近くにある空き地。4月下旬、2トントラック1台分の木くずなどの建築廃材が見つかった。草むらで死角になっており、奥に入らなければ、発見は難しい場所だ。通報を受けた県警などが5月下旬に現場検証を実施し、排出源につながる伝票類などを見つけた。
廃棄物処理法違反(不法投棄)容疑で逮捕、起訴された大網白里町の大工の男(66)は、茂原市のほか、大網白里町、市原市にも、ほぼ同量の廃棄物を捨てていたとされる。3か所の廃棄物は同じ工事現場から出たもので、捜査関係者は「1か所に捨てると発見されやすいと考えたのだろう」と話す。
県警環境犯罪課によると、2008年の不法投棄の摘発件数は産業廃棄物関連だけで92件・38人だった。今年に入ってからは19件・22人(5月末時点)となっており、この大半がゲリラ的な不法投棄という。低料金で廃材の処分を請け負い、処分費が惜しいために山林などに捨てるケースが多いという。
県廃棄物指導課によると、07年度の県内の不法投棄量は約1万4000トン。大規模投棄が相次ぎ、過去最高を記録した1999年度(約18万トン)と比べると、12分の1以下に減少した。一方、千葉、船橋市を除いた件数では、99年度の133件に対し、07年度は203件と逆に増えており、不法投棄の中心が小規模なものに移行してきた現状を示している。
こうした状況に、県や各自治体は日常的なパトロール強化に加え、住民とともに監視態勢の強化に取り組んでいる。県は、「産廃残土県民ダイヤル」を設けて24時間態勢で不法投棄に関する情報を受け付ける一方、千葉市などの各自治体も自治会や住民らに監視強化などを要請している。
県警環境犯罪課は「自治体や住民との連携で協力態勢を築き、不法投棄を許さない環境作りが必要だ」と指摘する。産廃に交じっていた伝票などから摘発につながるケースが多く、同課は「不法投棄事件の摘発には、早期発見と通報が欠かせない」と、協力を呼びかけている。
出典:読売新聞