リサイクルに採算性の壁 クリーニングカバー回収ピンチ
2009/05/15
ニュース
宮城県クリーニング生活衛生同業組合(会員165事業者)や仙台市などが昨年8月に始めたクリーニングカバーのリサイクル事業が、危機に追い込まれている。カバーを引き取るプラスチック加工業者が「不況で利益が見込めない」と、5月末で一時休止する意向を伝えたからだ。全国初の官民共同プロジェクトで、事業の参加店舗は順調に増えているだけに、市などが打開策を懸命に探っている。
リサイクル事業は、家庭ごみとして焼却処分されているビニールのカバーと、プラスチックハンガーを消費者から回収して有効活用しようと、仙台市内の22店で始まった。市がNPO法人「環境会議所東北」と協力してPRに力を入れ、参加店は約350店に拡大した。
引き取り業者の「日の丸合成樹脂工業」(宮城県大郷町)が、クリーニング工場に出向いてカバーとハンガーを回収。自社工場に運んでプラスチック原料に加工し、メーカーに販売している。
同社によると、昨年8月は原料の売値が1キロ当たり120―130円だったが、年明け以降は50―60円に急落。構想段階では1カ月に約17トンとの試算が示された回収量も、1トン超で推移し、伸びていないという。
同社は「業者に輸送を委託するなどコスト削減を図ったが、赤字は避けられない」と説明。「市況が回復すれば、また参加するかもしれない」と話す。
宮城県クリーニング生活衛生同業組合は、大量のビニールを出す現状の改善を目指していただけに、ショックは大きい。渡辺満雄理事長は「参加店舗が順調に増え、利用者にも浸透してきた。何とか継続したい」と訴える。
市リサイクル推進課は「県内外の2、3業者に、引き取りを打診している。5月中には存続のための方向性を打ち出したい」と話している。
出典:河北新報社