牛ふん活用の燃料電池を開発、将来は“トイレ発電機”も
2009/01/13
環境省
牛のふん尿から抜き出したアンモニアを電気分解して燃料電池に活用する技術を、帯広畜産大(北海道帯広市)の高橋潤一教授(循環型畜産科学)と、住友商事の研究グループが世界で初めて開発した。人間のし尿にも応用できる。
小型化しやすい燃料電池の特性を生かせば、一般家庭用の“トイレ発電機”の開発につながる可能性もある。
「牛ふんアンモニア燃料電池」は、ふん尿を無酸素状態で発酵させて取り出したアンモニアを水素と窒素に電気分解し、水素を大気中の酸素と反応させて電気を取り出す仕組みだ。
高橋教授らは、約200万円かけて実験装置(縦2メートル、横1メートル)を製作、発酵させた約20キロのふん尿から0・2ワットの電力を取り出すことに成功した。試算では、発電効率を高めることにより、北海道の平均的な牧場で1日に排出されるふん尿6~8トンで、一般家庭3日分の電力を賄える。
燃料電池は、水素と酸素を化学反応させて発電する装置。国内メーカーが家庭用機器の実用化を急いでいるが、現在は都市ガスやプロパンガス、灯油、メタノールから水素を取り出し、いずれも二酸化炭素(CO2)を排出する。これに対し今回の新技術は、CO2は発生せず、原料コストもゼロ。
燃料電池に詳しい工学院大の雑賀高(さいかたかし)教授は「新エネルギーとして実用化に期待したい」と話している。
出典:読売新聞