栗東の産廃処分場跡地問題:県対策案、北尾団地自治会が同意へ /滋賀
2008/12/08
ニュース
◇知事、着手の可能性示唆
栗東市のRDエンジニアリング社の産業廃棄物処分場跡地の有害物質問題で、跡地周辺7自治会の一つ、北尾団地自治会が3日夜、総会を開いた。県によると、同自治会は県の対策案に同意する方向でまとまった。嘉田由紀子知事は「(跡地に)最も近く、影響を受けてきた北尾団地の意向は大変重要」と評価。対策案を決めるには「総合的判断が必要」とも話し、他の自治会の動向や同市の意見などによっては県案に着手する可能性も示唆した。
99年に高濃度の硫化水素ガスが検出され、住民の同跡地への不安が高まった。RD社は06年6月に破産手続きを開始。学識者や住民による知事の諮問機関は今年4月に有害物の全量撤去案などを報告したが、嘉田知事は「他に効果的で経済的な案がある」などと全量撤去を否定。県は、国の補助が受けられ2012年度までの時限立法である産業廃棄物特別措置法の適用をにらみ、周囲を遮水壁で囲み、現地で浄化し覆土する工法を示したが、全量撤去の希望が多い住民らは猛反発した。
その後、この工法を骨格に、焼却炉撤去や跡地の県有地化検討も盛り込んだ県案をまとめ、先月、7自治会と市に県案への同意を求める文書を送付したが、これまで返答した4自治会はいずれも同意していない。
嘉田知事は3日の県議会で、各自治会の状況を踏まえ、県案に「着手するには(状況が)大変厳しい」と答弁。しかし、同日夜、跡地に隣接する北尾団地自治会が県案への同意方針を固め、知事は急きょ地元を訪問し、住民らに謝意を伝えた。
嘉田知事はこれまで「住民の合意と納得が絶対条件」と表明してきた。しかし、4日の定例会見では、他の自治会が不同意のまま県案に着手する可能性を問われ、「百(7自治会すべての同意)でないといけないとは言っていない。大きなポイントはまちづくりに資するかどうかだ」と述べ、一部の自治会の同意で県案の実施に踏み切る可能性に含みを持たせた。
県は産廃特措法の期限から逆算し、今年11月ごろまでの住民同意を目指してきただけに、「公式にはデッドラインを過ぎている」(嘉田知事)状況だ。北尾団地自治会の同意を足がかりに他の自治会の同意を早急に取り付けることができるかどうか注目される。
出典:毎日新聞