廃棄物施設に住民反発/広島
2008/12/05
ニュース
広島市佐伯区の五日市埋め立て地埠頭(ふ・とう)用地に、県が建設を計画している廃棄物の海上積み出し施設について、地元住民から反対の声が上がっている。計画は9年前にできたが、住民向け説明会は11月に初めて開かれた。搬入される廃棄物には環境基準を超すダイオキシン類などが含まれる可能性もあるとして、住民は反発している。
県によると、今年度中に満杯となる五日市処分場(佐伯区)の後継として南区の埋め立て地に出島処分場を建設することを99年に決めたが、埋め立て地は計画段階の94年の調査ですでに車などの騒音が環境基準を超えていた。このため出島処分場への廃棄物は海路で運ぶことを決めた。中継施設として海上への積み出し施設の候補地を探したところ、約10キロ離れた五日市埠頭以外に見つからなかった。
積み出し施設は1・2ヘクタールの敷地に0・7ヘクタールの建物を設け、トラックで運ばれた廃棄物を保管する。建設費は約20億円。2011年度に完成予定で安芸高田、東広島両市以西の県域の産業廃棄物などが対象となる。
04年には一部の住民が積み出し施設建設に反対する署名を県などに提出したが、県は07年に町内会長らに説明するにとどまったという。今年、予定地の対岸に土地を買った司法書士の高尾昌二さん(38)は「積み出し施設の建設計画を知らされてなかった。県には説明責任があったはず」と話す。説明会がなかったことについて県環境県民局は「地元と調整してきたが、説明会の開催にまで至らなかった。今後、真摯に対応していく」とする。
五日市処分場をめぐっては、廃棄物の抜き取り調査で環境基準を超すダイオキシン類が検出されたことが、3日の県議会生活福祉保健委員会で判明した。05~07年度に検査した179件のうち6件が基準値を超した。うち1件は基準の4倍近かったという。
県は「基準を超した廃棄物は業者に持ち帰ってもらってきた。ただダイオキシン類に関する基準がなかった91年から廃棄物が搬入されており(基準値を超す廃棄物が)埋められた可能性は否定できない」とする。住民側は「五日市処分場があっただけでも負担を強いられてきたのに、近くの積み出し施設でも搬入が続くなんてひどい」と訴えている。
県は説明会で、廃棄物を搬送する運搬経路の変更や大気中のダイオキシン類などのモニタリング調査の実施などをすると説明し、理解を求めていくという。
出典:朝日新聞