土壌汚染疑い調査、40年以上前廃棄物埋め立て
2008/04/11
ニュース
農薬の製造販売会社「クミアイ化学工業」(東京都台東区、東証1部上場)が、農薬の製造過程で生じた廃棄物を約40年以上前に、静岡市清水区内の巴川沿いの土地に埋めていたことが10日、わかった。土壌汚染の疑いがあるとの指摘を受け、自主調査に乗り出し、同市にも報告した。5月の大型連休明けに調査を終える予定で、同市も巴川沿いの井戸水の水質調査に着手した。
同社によると、廃棄物処理法が施行された1971年以前のことで、廃棄処分を届け出る必要がなかったという。巴川沿いの土地を借りて、工場の廃棄物処分場として利用していた。「昭和50年代後半」ごろの市道と河川整備の際、廃棄物の一部は撤去されたが、「昭和60年代」には廃棄物を土で覆い、地主に返した。現在は、工場や住宅が立ち並ぶ。
地主と交わした賃貸借契約や廃棄物の内容などの記録はなく、同社は、当時の担当者からの聞き取りで処分場の輪郭を明確にし、地主の許可を得た上で、ボーリング調査を行う。農薬など毒性のある物質が埋められている可能性もあるため、約20か所で土壌汚染対策法の基準値をクリアしているかどうか調べる。
同社は49年に庵原農薬(旧清水市)として発足し、68年に現社名となった。調査地域から1キロほど南には、本社分室や清水工場がある。同社総務部は「廃棄物処理法ができる前の話だが、地元を無視できない。調査結果をみて、対処法を判断したい」としている。
一方、静岡市は井戸水の水質を調査するため、この地域の11か所で井戸水を採取し、市環境保健研究所で詳しく調べる。同社からの報告を受け、早急な調査実施を求めた。
近くの男性(78)によると、当時この地域一体には田んぼが広がり、屋根瓦を作るために粘土を掘り出し、深さ数メートルの穴があった。「何かはわからないが、(この穴に)カーバイド状の白い物質が捨てられていた」と話した。
別の男性は「処分場はあったが、これまでに健康被害は聞いたことない。遠い昔の話だが、今なら大問題だろう」と話していた。