シンガポール 大学研究チーム 太陽光でプラ廃棄物を有用物質に変換
2020/03/11
ニュース
昨年12月、シンガポールの南洋(ナンヤン)理工大学(NTU)の研究チームは、太陽光エネルギーを利用してプラスチック廃棄物を有用な化学物質に変換する技術を開発したと発表。これは、地球環境を配慮した新しい手法となる。プラスチック廃棄物の処理については海洋投棄による環境破壊の深刻化などから世界的規模で早急な対策が模索さている。
南洋理工大学は、1981年に設立された国立大学であり、トップスクールとして位置づけられ、世界大学ランキングにおいても欧米のエリート校に匹敵するほどの評価を得ている。
プラスチックを有用な化学物質に転換する技術として、現在知られているのは、化石燃料を用いてプラスチックを溶解する方法があるが、化石燃料は温室効果ガスを生み出してします。また水と太陽光でプラスチックから水素ガスを生成する光化学改質(photoreforming)では、毒性のある触媒(カドミウム)を使うことになる。これらとは異なり、NTUの新しい技法では、太陽光エネルギーを利用し金属のバナジウムを光触媒としてプラスチック廃棄物をギ酸に変換するというもので、バナジウムは安価で環境にも優しい。また、ギ酸は燃料電池での発電や抗菌剤に利用できる。さらに、NTUの実験ではプラスチック分解が他の手法より短い6日間で達成されたと報告され、今後の実用化に向けて注目が集まる。