富山「脱プラ」ストローへ 国内初のスズ製 ANAホテルは紙製
2020/01/21
ニュース
世界的に問題となっている海洋汚染を防止するため、プラスチック製ストローを廃止する取り組みが国内外で広がりをみせる中、富山県内においても「脱プラ製ストロー」を実現する動きが始まっている。高岡市の鋳物関連メーカーがスズ100%のストローを商品化に成功し、、再利用可能なアイテムとして注目されている。県内のホテル業界においても、代替品として紙製ストローを提供するなど、「脱プラ」を巡るビジネスが活発に。
主に鋳物の砂型を作っているホクリン(高岡市戸出栄町)は、スズの抗菌作用と曲がる特性に着目してストローを開発。すでに国内ではチタンやアルミ製は既に商品化されているが、スズ製は全国で初めて。昨年8月下旬からネット販売を始め、冷たい飲み物をより冷たく味わえると高評価を得ている。
一般的にスズを細長く鋳造するのは困難とされているが、独自の技術を駆使した結果、飲料に適した薄さにまで仕上げることに成功した。同社の北林直文社長は「ストローを持ち歩くマイストローの習慣化を見据えて開発」とコメントしている。また、脱プラをビジネスチャンスにしたいとの考えを示している。
●全4種類で価格は1本2160~6480円。
※11月には生活用品の国際見本市(東京)に出展し販路開拓を目指すとしている。
近年、プラスチックごみによる海洋汚染が深刻化しており、外食業界においては海洋ごみ対策に早々に取組んでいる。スターバックスやすかいらーくホールディングスなどは今年に入り、プラスチック製の使い捨てストローを廃止する方針を公表している。
県内ではANAクラウンプラザホテル富山が7月から、館内にて提供するストローをプラスチックから紙製に切り替えた。ストローの使用量は年間約1万本という現状を受け、海洋汚染防止を目的に導入を決定。山崎聡飲食サービス支配人は「思ったよりも耐久性があり、お客様には違和感なく使用してもらっている」と話している。
これに次いで、ホテルグランテラス富山や富山第一ホテルも代替品の導入を検討しているという。
県環境政策課によると、2015年に富山湾に漂着した海洋ごみの種類の調査結果では、プラスチックごみ(発泡スチロールを含む)が全体の9割を占めており、同課担当者は「ストローの廃止により大幅なごみ減少が実現できるわけではないが、海洋汚染について考えるきっかけになる。この動きを広めて、個人一人一人が環境意識を高めてもらいたい」と想いを語った。