太平洋セメント大分工場 ごみ処理施設の飛灰 原料に再利用
2019/10/09
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太平洋セメント大分工場は、自治体のごみ処理施設で発生するばいじん(飛灰)をセメント原料として再利用する事業を本年度から開始。飛灰を有償で引き取り、専用のプラントで処理して資源化しているが、処理場から持ち込まれる飛灰量は少量なため、県内外の自治体に積極的な利用を促している。
多くの自治体が最終処分場に埋め立てている飛灰には塩素の含有量が多く、再資源化が進んでいない。この度、同社が新設した「灰水洗事業プラント」は、灰を水洗いし、飛灰に含まれる塩素を約10分の1に軽減する。4階建て、延べ1280平方メートル、処理能力は年間1万5千トンで、総工費は21億円。
現在、中津市など県内外の3市から飛灰を引き取り、セメントの原料として活用しているが、初年度の受け入れは約8千トン(計画値)を予定していたが、半分の約4千トンになる見込み。最終処分場での埋め立ては無料なのに対し、プラントでの処理は有料なため、普及が進んでいないとみられる。
また、埋め立て処理は飛灰をコーティングする必要があるため灰が湿るが、プラント処理では乾いた灰を使用していて、下処理が異なることも切り替えを阻む要因という。
環境省によると、国内の廃棄物最終処分場の残余年数は20年程度。新設も困難な中、「処分量の削減による延命対策は重要な課題。持続可能な処理方法として積極的にアプローチしていく」として、年間受け入れ量1万トン台を目指し、県内中心だった営業活動を県外自治体にも拡大していく方針。
大分工場は焼却場から出る主灰を再利用する施設として2007年に稼働し、県内を中心に年間約2万8千トンを受け入れている。今後は、「主灰に加え、飛灰の原料化を加速させ少しでも処分場の延命につながれば。資源循環型社会の形成に貢献していきたい」としている。