ごみ屋敷36世帯のごみ撤去 京都市、条例半年「強制なし」
2015/06/04
ニュース
京都市は2日、自宅に物をため込む「ごみ屋敷」問題解決に向けた市条例の施行から半年で、36世帯のごみを完全に撤去したことを明らかにした。市は「ごみ屋敷対策が大きく前進した」と評価している。強制的に撤去したケースはなかったという。一方、居住者と連絡が取れないなど状況が十分に把握できないケースも40世帯以上あった。
市によると、近隣住民らから「ごみ屋敷がある」などと通報があった154世帯について、条例が施行された昨年11月以降、訪問して調査した。5月11日までに状況が把握できたのが108世帯で、そのうち90世帯を「ごみ屋敷」と判定した。居住者や家族の同意を得て、居住者や市職員らによる清掃の実施につながったのが44世帯で、そのうち36世帯で全てのごみを撤去した。ほかの46世帯は何度も訪問して居住者と信頼関係を築いている途中だという。
把握できた居住者は60~70代が最も多く35世帯、次いで80代以上の28世帯だった。同居人がいない一人暮らしは57世帯だった。居住者には認知症や障害があったり、病気があっても通院していないなどのケースがあり、福祉支援や近隣住民による見守りなどにつなげたという。
一方、居住者が調査を拒否する、不在のため連絡が取れない、居住者とのコミュニケーションが取りづらいなど状況把握が難しいケースが46世帯あった。市は「親族から連絡を取ってもらうなど、今後も粘り強く対応していきたい」としている。
条例では、場合により居住者の同意なしに強制的にごみの撤去や立ち入り調査ができるとしている。市によると、長期間にわたって道路にごみがはみ出して市民の通行に支障がある、生ゴミが多く臭いがひどいなどのケースを想定しており、「今のところそういう例はない」としている。
医師や弁護士らでつくる「京都市ごみ屋敷問題を考える会」は「ごみを撤去して終わりではなく、居住者が抱える問題を把握し、支援につながったかが大切」と指摘。「数字だけでは分からない部分があり、撤去に至った過程やその後のフォロー体制をきちんと検証する必要がある」としている。
引用:京都新聞